最強コルベットZ06試乗 怒涛の加速が麻薬的!?
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:菊池 貴之
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:菊池 貴之
Z06のスペックはすごい。なにしろ500psオーバーの超弩級エンジンを1.5トンに満たない2シーターボディに押し込んでいるのだ。その結果、パワーウェイトレシオは2.8kg/psに達した。これは911カレラGT2やフェラーリ599といった、名門スポーツカーメーカーの頂上モデルに匹敵する数値である。
7リッターV8のバルブ駆動方式はOHV。DOHCが当たり前になったいまとなってはずいぶん古臭い印象もあるが、これだけの排気量があれば高回転化する必要性がなく、それならば重心を低く抑えられるOHVのほうが運動性能面で有利というのがGMの主張だ。加えてZ06では、チタン製コンロッドやインテークバルブ、アルミ鍛造製フラットトップピストン、鍛鋼製クランクシャフトといったレーシングエンジン直結テクノロジーを採用。511psの最高出力を6300rpmで発生しつつ(ノーマルは436psを5900rpm)、最高許容回転数7100rpm! を実現している。その結果が、0-60mph加速3.7秒、最高速度317km/hという空恐ろしいほどの動力性能だ。
とはいえ、加速は凄いけどハンドリングはタコ…というのがアメリカン・スポーツの伝統? である。しかしコルベットだけは別モノというのもまたクルマ好きの常識。とくにコルベットは先代モデルの時代からポルシェやフェラーリをベンチマークに掲げ、ニュルブルクリンクを走り込むなどして走りに磨きをかけてきた。基本レイアウトを先代から受け継いだ現行モデルもその延長線上にある。具体的には、エンジンのオールアルミ化、ギアボックスをエンジンから分離してリアに移動(トランスアクスル化)することによる前後重量配分の改善、マグネシウム、カーボンファイバーなどの多用による軽量化など。わかりやすく言えば、どデカいエンジンを積んだ直線番長からの脱却が先代と現行コルベットのコンセプトといわけだ。
Z06はそんなコンセプトにさらに磨きをかけている。ノーマルモデルよりさらに大きいエンジンを積んでいるが、軽量化を徹底することによってノーマル比-60kgの1440kgを達成。これは2リッタークラスのミニバンよりも軽い数値であり、前後重量配分も51対49という理想的な値を実現している。ボンネットを開けると、巨大なエンジンがバルクヘッドにめり込むようにして搭載されているのがわかるが、これも理想実現に向けたエンジニアたちに努力の跡だ。
その結果、Z06はまたニュルブルクリンクのオールドコースで7分43秒という驚異的なラップタイムを記録。ちなみにGT-Rのラップタイムは7分38秒。わずか5秒差という数値を見れば、Z06が直線番長ではないことを明確に理解できるはずだ。
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