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ボクスタースパイダー! コイツは想像以上に・・・

数字には現われない軽い加速の爽快さ

ところが、オープンコクピットのバケットシートに身体をハメ込み、サンフランシスコの南に位置するリゾートタウン、カーメル郊外のホテルから試乗にスタートしてみると、ボクスタースパイダーは数字からは読めない魅力を持つクルマだった。まずは1速での走り出しが軽く、クラッチをミートすると同時に軽快にダッシュする。2速、3速あたりの加速もすこぶる爽快で、トップエンドまで引っ張り上げたときのスピードの伸びは、直噴フラット6が奏でる咆哮の心地好さも相まって、背筋に快感が走るほどだった。いずれにせよ、パフォーマンスは充分に心地好い高レベルにあるといっていい。

ちなみにカーメルでの試乗車はすべて6段MT仕様だったが、そうやって加速の爽快さをエンジョイしていると、ギアシフトの素晴らしさにあらためて感心させられた。ストローク、ゲートの明確さ、操作の軽さ、それにギアが噛み込むときの感触とも申し分なく、シフト操作そのものを存分に愉しめる。試乗車のなかにはオプションのショートシフト装着車もあったが、それだと911GT3と同様のスイッチのようなシフトタッチが味わえる。

実際に試乗してはいないが、PDK装着車はMTよりドライビングがイージーで、速く、しかも燃費も優れているはずだ。だが、ボクスタースパイダーを心からエンジョイしようとするならMTを選ぶべきだと、僕は強く思った。エアコンがなく、幌さえ手動で脱着するこの硬派を2ペダルで走らせて、なにが愉しいか? マニュアルでドライビングしてこそその持ち味が生きるクルマがあるが、ボクスタースパイダーはまさにそれなのだ。

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