11代目の新カローラは年寄りクルマなのか?
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:中野 英幸
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:中野 英幸
まずは最もベーシックなアクシオの1.3に乗ったが、はっきいって僕的にはこれ、オススメではない。走り出してしまえば大きな不満はないが、一人乗車でも発進時にはトルク不足を感じさせ、動き出しの瞬間がもっさりしているから、僕のようなセッカチには向かない。それに加えて1.3は、後に乗った1.5に比べて不整路での乗り心地がザラついていたのも、オススメでない理由だ。その原因は、1.5の15インチタイヤの指定空気圧が2.3kgなのに対して、1.3の14インチは空気圧が2.5kgと高いことが主な原因らしい。1.3と1.5の価格差はほぼ同仕様のモデル同士で4.5万円というから、僕なら迷わず1.5を選ぶ。
続いて乗ったアクシオ1.5は、1.3よりずっと印象がよかった。車重が1090kgと軽いためもあって、109psエンジンによる加速に不満はないし、前記のタイヤの違いもあって、乗り心地も1.3のようにザラつきが気になることもない。コーナリングや高速での直進性に関しても、実用車に求められる平均を充分クリアしているといえる。でもそれだけじゃなく、ハイブリッド仕様でも用意されているとクルマとしての魅力も広がると思うが。
さらに最後に乗ったフィールダーの1.8はさすが140ps、1.3や1.5とは桁違いの爽快な加速を示す。その気になって富士スバルラインに攻め込んだら、コーナリングもそれなりに愉しめた。もっともフィールダーは、“キムタク効果”もあってか30代からユーザーがいるというから、中高年向けのアクシオとは違う感触のクルマに仕立てられているわけだ。
というわけで11代目カローラ、なかでもその中核をなすアクシオは、巷の風評どおり、中高年専用車といってもいいクルマに仕上がっていた。機能的な側面、つまり運転し易いという観点から見ればそれは正しい方向性だと思うが、華やかさの希薄な内外装に関してはどうだろうか。例えば大径の速度計を中心に据えたメーターパネルは見易くて好ましいと思うが、そのダッシュ左右の垂直方向のパネルに布を張った処理が、僕から見るとなんだか年寄り臭い。高齢者だって、わざわざ年寄り臭い服は着たくないわけで…。
蛇足ながら、僕が開発の対象年令に入っていることを理由に新型カローラに乗りたいかと尋ねられたら、答えは「ノー」だ。もしも5ナンバーサイズの現行トヨタ車のどれかに乗るとしたら、僕ならアクアにするだろう。色々な65歳がいるということである。
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