最新パワートレイン事情まとめ。未来の主役はどれだ?
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久
ここまでは次世代という括りで見てきたが、少なくともまだ当面の間、パワートレインの主力は今と同様、ガソリンエンジンのはずだ。何しろノウハウは豊富だし、環境対策はディーゼルより容易。課題の燃費も、ここに来て更に改善が進んでいる。
何しろ量販車であるトヨタ ヴィッツのエンジンが今や熱効率38%を謳うのだ。内燃エンジンの熱効率は、ざっと約30%がせいぜいと言われていたのに……。高効率性の追求は進み、未だ更に先の世界を見ることもできそうな気配である。今後の潮流として、ダウンサイジングターボの隆盛は続くだろう。その場合、気筒数の削減、そして4気筒以上の場合は気筒休止を組み合わせる例も増えるはずだ。
一方、今後各国で導入予定のリアルドライビング・エミッションを考えると、過給するより、マツダSKYACTIV-Gのように自然吸気のまま排気量を拡大して常用回転数を下げる方が、旨味は大きくなる可能性も高い。実は、日本の別の某社も同様のコンセプトの新エンジンの開発を進めているとか……。
燃焼についても、高膨張比のアトキンソンサイクルが徐々に使われ出しているし、ここに来て遂にHCCI(予混合圧縮自着火)エンジンの市販化が実現しそうという報道も出始めた。夢のエンジン、いよいよ実現近しだ。
今年、試すことができそうな最新ガソリンユニットに、VW新型ゴルフの「1.5 TSI Evo.ブルーモーション」がある。1.5L直噴ターボエンジンに気筒休止、アトキンソンサイクル燃焼、可変タービンジオメトリー仕様のターボチャージャー、更にはアクセルオフ時のエンジン停止といった機能を備えることで、最高出力130psを確保しながら4.6L/100km(約21.7km/L)の低燃費を実現する。日本導入も検討中という。
またメルセデス・ベンツは今後、ガソリン6気筒エンジンもV型から直列へと変更する。直列6気筒3Lユニットにはターボチャージャー、そして電気モーター1基が組み合わされ、回生した電力は低速域でタービンを回して過給ラグを解消する。マイルドハイブリッド化は、特に大型車ではほぼセットとなっていくのだろう。
いずれにせよガソリンエンジンの進化はまだ終わっていない。将来に向けても、まだまだ楽しませてくれるはずだ。
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