【速報】EV走行100km、CクラスのPHEVに+150万円の価値はあるか?
掲載 carview! 文:木村 好宏/写真:Kimura Office 47
掲載 carview! 文:木村 好宏/写真:Kimura Office 47
今回テストした「メルセデス・ベンツ C300e」のベースは2021年から販売されている5世代目Cクラスで、開発コードはW206である。基本スペックは長さ4.75×幅1.82×高さ1.44m、搭載されているエンジンは2.0L 4気筒ターボ(M254)、最高出力204ps、最大トルク320Nmで、これに最高出力129PS、最大トルク440Nmのモーターを組み合わせてシステム出力313ps、トルク550Nmを発生する。
トランスミッションは9Gトロニック(9速トルコンAT)で後輪を駆動、0-100km/hは6.1秒、最高速度は245km/hに達する。また搭載電池の容量は25.4kWhで(※日産「リーフ」で40kWh)、カタログ上のEV航続距離は99~111kmとなり、この時の最高速度は145km/hでリミッター制御される。

C300eの外観でPHEVであることを示すサインは何もない。わずかにトランクリッド上に「300e」のバッジがあるだけだ。インテリアも同様でC300と全く変わらない。操作も普通のガソリン車と同じだが、イグニッションをオンにすると電池の残量と航続距離を示すグラフが現れる。
フル充電では最大で111kmまでEV走行可能で、EV走行時の最高速度は145km/hとドイツのアウトバーンにおける推奨速度130km/hを超えている。ただし、実際に走ってみると他の交通の流れはおおよそ150km/h程度なので、邪魔にされるギリギリのスピードと言える。
また、このスピードで走ると電池残量は見る見るうちに減って行く。電力消費量は15kWh/100kmなので心配になってアウトバーンを早々に下り、一般道路を時速60kmほどで巡行するとようやくトリップメーターは100kmを指した。
この時の電池残量は17%、走行可能距離は18kmだった。そこでナビにセットされた充電ポイントに向かい、そこで充電を行うと30分で90%までに到達。当然ながら充電に関しては大容量のバッテリーをもつEVよりはずっと短時間で済む。
一方、およそ2トンを超える重量にもかかわらず、電気モーターのブーストのお陰で動きは機敏で、スロットルの踏み込みに対してリニアで力強い加速を見せる。また高速巡行における車線変更も後輪ステアによって安定した姿勢で完遂する。上屋の重さを感じる緩慢な車体の動きはなかった。
トランク容量はバッテリーのお陰で360リッターと通常のCクラス(455リッター)と比べると95リッターも少なく、2人分の小型トランクとチャージケーブルで一杯になってしまった。

結論を言えばC300eは三桁のEV航続距離が魅力で、一日30~40km走行する一般的なオーナーであればガソリンエンジンを使用する必要はなく、二酸化炭素排出量はゼロ、ガソリンスタンドへ行く手間もない。ただし価格は5万6168ユーロ(約820万円)とスタンダードのC300よりもおよそ1万ユーロ(約150万円)高い。
>>Cクラスのグレードごとの価格や詳細情報はこちら
>>相場下落中! Cクラスの中古車情報はこちら
>>Cクラスのユーザーと専門家のレビューはこちら
通常のハイブリッド車より大きな電池を搭載し、充電によってある程度長い距離を電気モーターだけで走ることができるPHEV(プラグインハイブリッド)は、登場した当時は画期的なソリューションと言われた。
さらに環境適合車として世界各国で購入時のインセンティブも獲得、各国の補助の条件に合わせるように、EV航続距離は30kmから現在では100kmへと増加してきている。その結果ドイツでは2017年から2020年の間に、新車登録台数では約3万台から20万台へと大幅に増加した。
しかし、PHEVは電池性能が向上するまでの“中継ぎ”という批判は現在も消えていない。個体電池などバッテリーの進化によって消滅する可能性はもちろん、2035年からのカリフォルニア州の規制に見られるように政治的な判断でPHEVがショールームから消えるかも知れない。
しかし、C300eのようなPHEVには隠された環境性能がある。それは最近話題になっている「LCA(ライフ・サイクル・アセスメント)」、すなわちクルマの誕生から廃車までのライフサイクルで考えた場合の温暖化ガス発生量が、他のモデルに比べると非常に優れているのだ。
それはまず、車体構成自体がこれまで長く培われたノウハウによって、多くのリサイクル素材を使用していること。そして電池容量も25.4kWhと通常のBEVに比べると半分以下で電池製造時に発生する二酸化炭素も計算上では半分以下となる。さらにガソリンと電気を使ってのハイブリッド走行によるWLTP燃費は100kmあたり0.6L~0.8L、単純計算だが1リッターで125km以上走ることになり、二酸化炭素の排出量も1kmあたりわずか13~17gなのだ。

そんなわけでC300e はLCAのチャンピオンとなったわけだが、内燃機関を目に敵にしている現在の政治の流れではその未来は明るくない。はたしてPHEVの市場はどこへ行くのだろうか?
意外に豊富! 国産PHEVモデルの価格やスペック情報を見てみる
>>三菱 アウトランダーPHEVはこちら
>>マツダ CX-60 PHEVはこちら
>>トヨタ プリウス(PHEVグレードあり)はこちら
>>トヨタ RAV4(PHEVグレードあり)はこちら
>>トヨタハリアー(PHEVグレードあり)はこちら
>>レクサス NX(PHEVグレード)はこちら
>>レクサス RX(PHEVグレード)はこちら
>>三菱 エクリプスクロスPHEVはこちら
ログインしてコメントを書く
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
日産のミニカー連動デバイス、車の制御信号を利用…スタートアップピッチで準優勝
トヨタの“本気”が伝わる最新フラッグシップスポーツ「GR GT」「GR GT3」とはどんなクルマなのか?
さらに輝けアルファード 光の力でさらにラグジュアリーへ! アルパインのアルファード専用アンビエントライトが登場!!
東北の「日本海~太平洋直通ルート」が復旧! 大規模地すべりで“寸断”も「新しいトンネル」開通で復活 「Uの字迂回」解消した国道107号 大石トンネル 11月末に一般開放
「埼玉県と千葉県を結ぶ夜行特急」が運行へ 大宮から銚子まで直通! 新宿にも停車
2025カーオーディオの祭典! in JU米子高島屋 イベントレポート
勝者フェルスタッペン、2点差で王座に届かず「辛くはない。ここまで挽回したことを誇りに思う」袂を分かつホンダには感謝
高規格道路とド並行になった「特急」勝ち目は…意外とある!? 今年で“昇格”30年 県都と県都を結ぶ
まもなく発売「ホンダの“ハイブリッドSUV”」は世界最高の完成度!? 日本仕様の新型「CR-V」は“開発陣も自信満々”の装備内容と走りを実現
念願のF1タイトル獲得に、ランド・ノリス感激「本当に長い道のりだったけど、チームのみんなを祝福したい」
ホンダのネオスポーツカフェ『CB125R』、4つの新色を追加…2026年モデル欧州発表
コーティングはボディだけじゃダメ! 錆を抑える「防錆コーティング」も重要だった
【ミニプリウスにキャラ変】装備充実の新型「アクア」。最強ライバル「ヤリスハイブリッド」と何が違う?
【コメント欄で激論】「初代コペンを彷彿」「300万円は超える」「市販化に期待」…「K-OPEN」実車公開の記事が話題
レクサス版「GR86」構想は本当にあるのか? 棚上げ状態から再始動の声が聞こえてきた背景
【いまさら聞けない】認定中古車のメリット・デメリット。購入者が主張する“意外な盲点”とは…どんな人に向いている?
290万円の「デリカミニ」登場で“価格天井”が崩壊。なぜ軽自動車の“高価格化”が止まらないのか
22万kmでも海外オークションで400万円超えた三菱「パジェロ エボ」。もし左ハンドルがあったらもっと高値になってたかも?
【知らなきゃ損】実は“革シート=動物が可哀想”じゃなかった。専門家が語るレザーの真実と、捨てられる牛皮“45%”の衝撃的現実
「クロスビー」が“実質フルモデルチェンジ”で昨対比269.8%と大復活。コンパクトSUVの王者「ライズ」を脅かす存在に!?
「N-ONE」一部改良。販売店には6MTの「RS」と「特別仕様車」に問い合わせ集中…「やっぱりMT車は運転が楽しい」の声も
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!