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ジャガーFタイプ試乗。ベストはV6か、V8か?

歴史の呪縛から解放されたFタイプ

そんな悲運のスポーツカーメーカーの一つがジャガーである。50~60年代に活躍したオープン2シータースポーツカーのCタイプ・Dタイプ・Eタイプは、Eタイプが最後に生産された70年代で姿を消した。ジャガーは再び国営化から民営化されたが、経営はいっこうに好転せず最終的にはフォードグループの傘下となってしまった。ジャガーを手に入れたフォードは我が意を得たりとばかりに喜んだ。アメリカ人にとってジャガーは憧れのスポーツカーであったからだ。アメリカ人で初めてジャガーのワークス・レーシングドライバーとなったフィル・ヒルはいまでも伝説的なアメリカのヒーローである。

スタイルを見ると往年のEタイプと最新のFタイプの間にはずいぶん長い時間が経ってしまったことが見て取れるが、オープンにしてリアビューを眺めると、薄いボディが特徴だったEタイプの面影を見ることができる。一方、Eタイプを知らない人は、Fタイプが現代のジャガーファミリーのスポーツカーであることに疑いの念はないはずだ。XFからXJへ、あるいはXKにも通じるデザインの一貫性が感じられる。つまりFタイプは、モダンなジャガーとクラシックなジャガーの融合を見事に表現したデザインではないだろうか。

ソフトトップを閉めるとボディカラーとコーディネイトされた布地のルーフが高級感を醸し出す。ソフトトップはハードトップよりもちょっと高級なのだ。Fタイプの国際試乗会の前半は雪まで降る悪天候だったらしいが、日本人グループの時はスペインの神様が微笑んでくれたのか、試乗会は晴天に恵まれた。おかげでソフトトップに落ちる雨粒の音を知らないが、私の経験では雨粒の音は案外、落ち着くのだ。時速50km/hまで12秒で開閉できるソフトトップはセッカチな私には歓迎できる使い勝手であった。

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