【後日精算に不満爆発】ETCを襲った大規模システム障害。無料にならない複雑背景と、混乱を招いた根本原因

画像：アフロ

「無料開放は不可」でも現場は“事実上スルー”

2025年4月7日の午前中の中央自動車道調布ICでは、ETC専用レーンが封鎖されており、一般のレーンのみが開放されていました。

一方、一般のレーンを通行しようとしても係員が静止をうながすことはなく、またETCも反応することはありませんでした。

この点について、前出のある有識者は次のように分析します。

「ネクスコ各社が供用している高速道路の利用規定には、なんらかの理由によって料金未納のまま高速道路を利用してしまった場合には、後日料金を支払う旨が明記されています。

一部料金所で後日精算の案内が行われた背景も、この規定に沿ったものと思われます。

ただ、これは利用者側の事情によって料金未納となった場合を想定したものであり、今回のようなシステム障害による料金未納は想定されていないようです。そのため、インターネットでは後日精算をうながしているものの、実際の現場では事実上『スルー』しているという運用が行われているのだと考えられます。

もちろん、利用者全員が後日精算をするのが筋ではありますが、ネクスコ中日本としても積極的に回収することは考えていないのではないでしょうか。

今回のシステム障害における最大の問題は、こうした障害が発生した際の規定を事前に策定していなかったことにあると思います。

それが今後の課題であることは言うまでもありませんが、現行の規定のなかでは、最大限柔軟な対応をしているのも事実です」

春休み最後の週末を直撃した今回のシステム障害。重要な社会インフラのひとつとして、再発防止策の徹底が求められています。

（終わり）

（写真：アフロ）