FCXクラリティ・レポート 久々に心底欲しいホンダ
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:編集部、ホンダ技研工業
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:編集部、ホンダ技研工業
だが僕が感激したのは実はもっと細かな部分。電動パワステは新型アコードと同じ、TCSやACC、VSAも備える。もちろん水素タンクを積むゆえに全方位での衝突安全性能も確保される。どれもイマドキなんてことない装備だが、既にリース開始となるFCXクラリティにそれらが搭載されることはつまり、社内では完全に市販車と同じ実験をしている証。そう、まだ数は少ないとはいえ既にクルマ作りの観点では、いわゆる市販車と全く同じように作っているのだ…と、ヘンな部分に胸を熱くした。やはり見栄えと同じく中身も完全に市販車並み。3年で200台の生産を「量産」と呼ぶかどうかは意見が別れるが、実際の作りは確実に「売れる」レベルだったのだ。
燃料電池車はいってみれば、クルマの中に化学プラントがあるようなもの。ご存知のように水素タンクを搭載し、その水素を燃料電池スタックで酸素と融合し化学反応させて電気と水を生み、その電気でモーターを回す。考えただけでも高コストだ。
事実水素タンクやアシストのためのリチウムイオンバッテリーは高く、コアであるFCスタックはさらに高い。また水素を充填するステーションが限られるというインフラの問題もある。それに同じモーターを回すならば、充電した電気で良いのでは? と僕も思う。
だがまだある問題を解決していけば燃料電池車には、バッテリーにはできない水素ならではの「つくる」「はこべる」「ためられる」特性を活かして必要な時に電気が使える。電気自動車のような充電時間も必要なく、走行距離も現時点で既にガソリン車同等を実現(FCXクラリティの航続距離は620km)している。
もちろん電気自動車の進化もあるから、どちらが良いかは未知数だが、未来を考えた時のひとつの可能性として水素という選択肢は外せないはず。それに電気自動車だって、充電する電気を何から造るか? を考えると将来的な問題がないわけではない。また燃料電池車だろうが電気自動車だろうが最後はモーターを回すわけだから、燃料電池車を作っておけば、後からFCスタックを抜いて電気自動車へ転換できる自由度もある。
確かに現状では三菱i MiEVやスバルR1eなどの電気自動車の方が、我々の生活に新たな価値観をもたらす日が近い。が、FCXクラリティが今秋から日本でもリースを始める他、トヨタ、スズキも燃料電池車を発表したし、マツダも水素ロータリーハイブリッドを発表するなど、電気自動車以外の「駒」も着実に揃いつつある。そうした状況を鑑みれば、近い将来、我々は新たな価値観の自動車を手にすることができるのは確実。そうした時、振り返ればきっとFCXクラリティの偉大な点が浮かび上がるはず。
しかもホンダのことだから、その頃にはおそらく、僕らの胸を焦がすようなFCXクラリティの派生系スポーツカーなんかも作ってくれているに違いない。
すぐに売って欲しい、と思える完成度だったFCXクラリティ。実は一番感じ入ったのはそんな風にして僕の頭の中に、素敵な自動車の未来を描かせる想像を呼び起こす感覚を持っていたことかもしれない。そして思った。「久々にハートを熱くし、心底欲しいと思えたホンダがここにある」と。
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