トヨタが見せた“ホンキの近未来”を報告!
掲載 更新 carview! 文:小沢 コージ /写真:望月 浩彦、トヨタ自動車
掲載 更新 carview! 文:小沢 コージ /写真:望月 浩彦、トヨタ自動車
さてと最後になるが、今回のイベントで一番感心したのは、実はセーフティ技術じゃなくてこの燃料電池プロトタイプセダンの「FCV」だ。確か2000年代から発表しているこの手の技術。正直、ここ数年は日産や三菱がリードするEV(電気自動車)に押されてちょっと影を潜め気味だったけど、EVの現実が見えてきたと同時に、再び日の目が見えてきた感がある。それはEVが結局、充電施設や航続距離の問題で、現状の自動車の置き換えにはならないとわかってしまったからだ。一部、テスラが例外にはなっておりますが。
果たして燃料電池車は水素の供給と、高額な車両価格がネックになっていたわけだけど、今回分かったのは燃料供給に関しては大手石油会社、都市ガス会社、産業ガス会社がかなりの協力体制にあること。今回も現実にJX日鉱日石エネルギーの偉い人がきて「水素とはなにか?」を綿密にプレゼンしてくれたのだ。さらに2015年度までにFCVの販売台数に応じて全国に100カ所程度の水素ステーションを設置することを発表。加えて、当の2015年にトヨタが市販する予定のFCVプロトの出来が凄かった。
アッパーボディは現実とはまるで違うが、フロアやパワートレインはほぼ同様になる見込みで、乗るととにかく速くて静かで室内も広い。外観もコンパクトだ。しかも開発担当の田中義和さんが良かった。この方はプリウスPHVの元チーフエンジニアで事実上、FCVは初代プリウス的ノリで開発しているのだ。「トヨタは本気も本気、超本気です」と言う通り、田中さんの上には初代プリウスを開発した内山田会長をはじめ、事実上のハイブリッド計画のボス、小木曽役員も付いている。今ひとつ力が入ってなかったEV戦略とはワケが違うのだ。
ついでにトヨタが「EVは近距離交通の手段」と割り切った結果生まれた、2人乗りの「i-ROAD」も乗ってみると予想外に良かった。この手はルノー日産モノに乗ったことがあるが、あれより幅が猛烈に狭くて大型バイク並み。それでいて雨風は避けられ、3輪で安定していて思いっきりバンクもする。で、コイツが実際乗って見るとメチャクチャ楽しいのだ!! しかも現実にこれは法的に許されれば、明日にでも発売できるシロモノ。なんせバイクだから基本衝突安全性能は不問だし、確実にバイクよりは安全。
昔から「EVは近距離、それ以上は燃料電池車が本命!」と言い続けたトヨタが改めて見せてくれたホンキの近未来。特にFCVは2015年の実車が見ものだとマジで思いました。97年に初代プリウスが出た時のような「21世紀に間に合いました」感が出ちゃうのかもしれませんぜ!
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