エコと愉しさの両立! ホンダ・レーシング試乗
掲載 更新 carview! 文:清水 和夫/写真:菊池 貴之
掲載 更新 carview! 文:清水 和夫/写真:菊池 貴之
GTカーに限らず、F1も速く走るには走行抵抗(空気抵抗+タイヤの転がり抵抗など)を少なくする必要があるから、空力や軽量化は極めて重要な技術。その意味では規則の「約500馬力(空気の流量が規制)+車両重量1100kg」で誰よりも速く走るには、加速性能以外の工夫が必要だ。その秘密はF1と同じで、空気の力を借りて、車体を地面に押さえつけるマイナスの揚力(ダウンフォース)でタイヤのグリップ力を稼ぐ手法が重要だ。さらに、空気抵抗も少なくし、500馬力を有効に使う、というのが勝つためのレシピだ。
もう一つの工夫はエンジンとギアボックスの配置がユニーク。V6エンジンは縦置きだがギアボックスはエンジンよりも前側にあり、エンジンの後ろ側にあるデフにはVバンクの間をメインシャフトが通る。つまり、エンジンが相当に低い位置にあるのだ。そのためにリヤタイヤは外径が大きい17インチ。扁平率はトラクション性能を重視してあまり低くないが、フロントはステアリングレスポンスを向上させるために18インチを履く。ノーマルのNSXとは逆の発想だ。
さて2009年で最後となったNSXのGTカーをインプレしてみよう。「タイヤは充分に暖まってません」と忠告されて乗りこむ。1100kgで500馬力というパワーウェイトレシオはエンツォフェラーリと同じくらいの加速性能。だから驚くほどの加速性能ではないが、コーナーリングは強烈に速い。
もてぎの西ショートコースを3ラップしただけなので、実力の一端しか分からないが、ターンインから出口までのコーナーはとても速い。タイヤが暖まれば一段上のギアでコーナーリングできるのではと思った。試乗したのは2006年モデルだが、速さのピークは2007年仕様であったそうだ。「速いレースカーほど乗りやすい」という私のレース経験を裏切らないほど扱いやすいGTカーであった。
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