VW ポロGTIがフェイスリフト。充実した先進装備やホットハッチの魅力に…もうゴルフGTIは要らないかも!?
掲載 carview! 文:木村 好宏 42
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昨年6月の発表以来、半導体不足の余波を受けて実車に触れることもできなかった「ポロGTI」の試乗が可能になった。とはいえ、今回はまだオミクロン・コロナの影響もあっていつもの試乗会は開催されず、個々に試乗車がデリバーされる。我々の下に到着したのはキングス・レッド・メタリックと名付けられた真っ赤なボディをまとったポロGTIで、フェイスリフト故にそのサイズは現行モデルと変化はない。
ただし、エクステリアデザインはグリル下方の赤いGTIラインと並行して走るLED、IQマトリックスヘッドライト(オプション)、そしてハニカムラジエターグリルの左右に2個のLEDドライビングライト、ブラック仕上げのドアミラー、さらに後方に回るとトランクリッドまで広がったLEDテールライトなどで新鮮さをアピールしている。スポーツムードを盛り上げる真っ赤なブレーキキャリパーを横目で見ながらドアを開け、GTIの伝統である赤いステッチとチェック柄のスポーツシートに身体を任せる。
インストルメントパネルは「ゴルフGTI」に準じてデジタル化され、ドライバーの正面には標準で10.25インチのデジタルコックピット、ダッシュボードにはタッチ機能を持つ9.2インチのディスプレイが並ぶ。インフォテイメントはVWグループ最新のMIB3.1を搭載、OTA(無線)でソフトウェアのアップグレード、そしてアップルカープレイかアンドロイドオートもスマホを介してコンテンツや機能を使用可能だ。
パワートレーンは2リッター4気筒TSIで最高出力は200馬力から207馬力へやや控えめに向上。最大トルクは320Nmと不変だが1500~4500rpmの広範囲で発生する。ダイナミック性能は0-100km/hの加速がコンマ2秒速くなって6.5秒、最高速度は238km/h (現行モデル236km/h)となっている。
ゴルフGTIのスイッチのようなギアセレクターと違って、長くて無骨だが操作感のあるDSG(DCT)レバーをDにセットしてスタート。走り出すと7馬力のパワーアップは正直言って明確には感じられないが、低回転域からのトルクの立ち上がり、そして回転の滑らかさが現行モデルよりも一段と改善されたのを感じる。またソフトウェアの改良でシフトフィールはゴルフGTI並みにクイックでスムースになっている。
ポロの標準モデルよりも15mm低められたスポーツシャーシには標準の17インチに代わってオプションの18インチタイヤ、BSトランザ(215/40R18)が装着されていた。コラムタイプのEPS(電動パワーステアリング)にも関わらずステアフィールは自然で、路面からのインフォメーションの確かな、スポーティで軽快なハンドリングを見せてくれる。またタイトコーナーでスロットルを踏み込んでも標準装備の電子制御デファレンシャル(XDS)が前輪に掛かるパワーをスムースにコントロールしてアンダーステアを出させない。
一方、アウトバーンでは180km/h付近でも静かで安定した平和なクルージングを楽しむことができる。ポロGTIはまさにホットハッチの魅力をフル装備したモデルで、ひょっとするとゴルフGTIの存在を脅かすかもしれないと思ったほどであった。
ADAS(先進運転支援システム)も充実しており、オプションのIQトラベルアシストを装備すればレーダーセンサーとカメラによって前方を監視、ACCオンでは車線はもちろん地図データ、GPS座標、制限速度、交差点、ラウンドアバウトなどを検知しながら一時的な手放しを許すレベル2の半自動ドライブを210km/hまで可能にする。
当然ながらステアリングホイールにはセンサーが装備されウォーニングが働く。また標準装備でも車線逸脱警告や自転車歩行者を検知する緊急ブレーキ、追突防止、さらにドライバーの疲労を監視するアテンションアシストが用意されている。
このポロGTIはドイツ国内ではベースモデルの価格が3万300ユーロ(約410万円、19%の付加価値税込み)で、既に予約受注が始まっている。日本での発売日や価格はこの原稿を書いている時点では発表されていないが、もし半導体問題が片付けば、おそらく今年中にはデリバリーが開始されるだろう。
写真:Axel Wiedermann
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