両側スライドで真向勝負 スズキ パレットに試乗!
掲載 更新 carview! 文:佐野 弘宗/写真:中野 英幸
掲載 更新 carview! 文:佐野 弘宗/写真:中野 英幸
さて、軽自動車世界にまたひとつ“パレットvsタント”という熾烈なライバルの構図が生まれたわけだ。ちなみに、私がパレットかタントのどちらかを選べ…といわれたら、迷うことなくパレットである。もっとも、これは全方位的にパレットが優秀なクルマである…というわけではない、残念ながら。
私の家族構成は夫婦2人だけで、子供もいないし、高齢の両親と同居もしていない。しかも、曲がりなりにもこういう仕事をしていて、所有するクルマは間違いなく自分で運転して、一般の方々より高速移動は多く、ときには取材地へと山道を急ぐこともある。こんな私にとっては、タントのピラーレスボディはハッキリいって無用の長物でしかないし、パレットのほうがより自然なドライビングポジションが見つけられる。また、高速や山道もよりストレスなく走れるのもパレットだ。ムーヴをベースに超背高ボディを与えたタントは、ムーヴほどしなやかにロールせず、また広大なウィンドウ面積と低いダッシュボードで視界が良すぎて、私などは高速走行でちょっと違和感を抱いてしまうほどだった。
もっとも、まだチャイルドシートを必要とする小さな子供を持つ友人は、タントのピラーレスボディを体験して「これほどチャイルドシートが脱着しやすいなんて、これだけでも買う価値あり」と断言していたし、混雑した街中で乗るときは、タントの死角の少なさは確かにありがたい。また、子供が成長してチャイルドシートが不要になり、自分で乗り降りするようになれば、逆にパレットの両側スライドドアを重宝に思うケースもあるだろう。
つまりはそういうことだ。パレットとタントは軽自動車の枠内で究極の便利を追求しているだけに、ちょっとした細部の違いが、個々の生活様式によって決定的な利便性の差を生み出してもいる。
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