【甘かった計画、重すぎた現実】消えたオペル。日本再上陸計画が“ほぼ白紙”に戻った背景に何があったのか？

オペル コンボライフ

ステランティスの不振で「それどころじゃない」

また、親会社であるステランティスの経営不振も課題であるといいます。

前出の業界関係者は次のように話します。

「BYDをはじめとする中国の自動車メーカーの攻勢により、日欧米の大手自動車メーカーは軒並み販売台数を下げています。

なかでもステランティスは、2024年のグローバルにおける新車販売台数が前年比12％減の541万5000台と数字を大きく落としています。

さらに、ステランティスは日本市場でも苦戦しており、2024年の国内新車販売台数は前年比24％減の2万5667台となっています。

こうした状況を受けてステランティス ジャパンでは、2025年5月よりジープをはじめとする主要6ブランドの14モデルに対して、最大50万円もの値下げをおこなっています。

ただ、これは積極的なマーケティング・キャンペーンというよりは、在庫処分の苦肉の策という見方が大勢を占めています。

いずれにせよ、このような状態では、オペルの日本市場再参入などと言っている場合ではありません」

2025年5月現在、オペルの日本語公式Webサイトのドメインである「opel.jp」は「リザーブド・ドメイン」となっており、ステランティス ジャパンによって確保されているものと見られます。

ただ、ドメインの確保自体はめずらしいことではなく、そのコストもステランティス ジャパンほどの企業であれば決して高額ではありません。

そうした点をふまえると、オペルの日本市場再参入の可能性は限りなく低いというのが実際のところのようです。

（終わり）

（写真：オペル）