トヨタ スープラ試作車は限界域でピーキーな走り。86とは世界が違う
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:望月 浩彦
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そもそも新型スープラはBMWとトヨタの共同開発で実現した。同じプラットフォームを使い、オープンモデルが「Z4」で、クーペがスープラとなっている。
開発チームは明確に分けられ、交流はあるものの、味付けや仕上げは独立して進められたという。とはいえ、トヨタからすれば開発や生産を主導するBMWの技術やパーツを使えたわけで、例えばタイヤは「M4」が履く「ミシュラン パイロット スーパースポーツ」。BMWの認証スターマークが刻印されているスペシャル仕様だ。
このタイヤ、M4でも感じるが、ドライもウェットもグリップレベルが高いのだが、ピークグリップを追求したせいか、セダンのような穏やかなボディ特性ならコントロール性もあるが、ボディ剛性の高いクーペに装着するとかなりクイックな特性を示す。BMWでも「クーペのM4はコントロール性が…それを求めるならセダンのM3」と言われるが、まさにそのM4のウェット走行にも似た緊張感がある。
そんなわけでタイヤが温まってグリップを発揮するまでは、かなり唐突な滑りが頻発。これが一般道なら、タイヤはそう簡単に温まらないはずなので、ずっとピーキーなグリップ特性ということだ。
サーキットをタイヤが滑るくらいのペースで数周してからは、グリップに少し粘りが出て、滑ってからのグリップ回復も早まり、コントロール性は上がった。ただ同時に高いボディ剛性と、多少滑りながらもクルマを前に進める電子制御リアデファレンシャルギアが効果的にクルマを加速させ、タイヤが温まった分だけアクセルを踏めてしまう。その速度でズルッと滑り出す動きには、かなりの緊張感が伴うことになる。
「そんな速度で走らなければいいだけ」とお叱りを受けそうだが、限界までは安定感も高く、知らずにペースは上っていく。ツインクラッチ風に歯切れ良のいい8速ATや排気音の音色の切り替わり、シャープで滑らかに吹け上がるエンジンにも魅了される。
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