AMG E63試乗。612ps/850Nmを一般道で普通に操れてしまう時代に
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:小林 俊樹
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当然ながら、超絶に速い。停止状態から100km/hまで3.4秒(911カレラ4GTSで3.6秒)。驚くべきはその際の安心感と安定感の高さ。フル加速しながら、スラロームできるかな…なんて発想が出てくるほどの余裕をドライバーに与えている。勘違いしてもらいたくないが、刺激が少ないとかではない。近年のAMGらしく排気音は荒々しく吠えるように刺激的だし、エンジンはレッドゾ-ンまで鋭く一気に吹け上がるし、景色の流れ方も目がついていかないほど速い。しかしそれでも、まだクルマには余力があると直感できるのだ。
背景には4つのタイヤで駆動する4マチックが関係するのだろう。強烈な加速をしているのに、FRのようにリアが大きく沈む姿勢変化や、リアからグングン押される感覚がない。リアの押し出しとフロントの引っ張りがバランスして、姿勢変化は少ないのに速度が急激に上がる。その姿勢変化の少なさが、まだ何かクルマに要求しても応えてくれそうな感覚を抱かせるわけだ。
今まで強烈な加速をしながら、何か他の操作をしてみようかな…なんて感覚を抱くクルマに出会っていないので、もしかしたら4輪駆動だけではなく制御システムや別の要素が関係していた、なんて気付きが後々出てくる可能性もあるが、今後このカテゴリーのハイパフォーマンス市場は、超高性能エンジン+4輪駆動の勝負になるので、比較していけばいずれハッキリするだろう。
何にせよ、3.4秒という驚異的な加速力を手の内に収められる性能としてE63が備えてきたのは紛れもない事実。ドライバーは揺るがない自制心が必要だ。
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