AMG E63試乗。612ps/850Nmを一般道で普通に操れてしまう時代に
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:小林 俊樹
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正直、このモデルを紳士的に乗りこなす自制心を僕は残念ながら持ち合わせていない。それほどまでにE63の演出は凄まじい。もちろんドライブセレクトをノーマルで走っている分には問題ない。しかし手を伸ばせば簡単に操れるセンターコンソールの操作レバーでスポーツ…ここまでは自制心を抑えられたが、スポーツ+にしたら、もう抑制できなかった。その先にあるレースモードなど、一般道では禁断のモードだ。
吸排気系の音、ハンドルの重さ、アクセル操作に対するレスポンスなど、スポーティに走れるように全てが変わっていくと同時に、ドライバーをその気にさせる味付けも強調されていく。走り好きなら、間違いなくスポーツ+にしたら、アクセルをもっと踏みたい欲求、カーブを気持ち良く曲がりたい欲求に逆らえないだろう。
排気系には3つのバルブが備わっており、それらが巧みにコントロールされ、排気音が音色を変えていく。レースモードでは力強さと鋭さを備えたレースカーのような気持ち良さがある。しかも高負荷時のほうがいい音を出すので、それを実現できる速度…となると一般道ではダメだ。
アクティブエンジンマウントが必要に応じてフロント剛性を高めてハンドリングをシャープにする効果も関係するだろうが、4輪駆動の賢さにこれまたやられてしまう。詳細は明らかにされていないが、ノーマルモードでは4輪駆動感が強く安定優先な印象だが、スポーツ+以上にすると積極的にトルク配分がリア寄りに調整されるうえ、フル加速時などはフロント駆動を必要最小限しか使わない、後輪蹴り出し基調の印象がある。レースモードにすると再び4輪駆動感が戻ってくるが、スポーツ+はハンドル操作した際の手応えの変化などにクリア感が出て、旋回していて最も気持ち良い。電子制御多板クラッチの制御で完全にFRでも走れる4輪駆動システムなだけに、その味付けは自由自在ということだろう。
最後にこのモデルを買うなら、高価でもブレーキにはOPのセラミックカーボンブレーキを装着するべきだ。自分を守る為、周りに迷惑を掛けない為の装備と思ってほしい。
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