河口まなぶiQ公道試乗 未来へ繋がる新価値が!
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:編集部、荒川 雅臣
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:編集部、荒川 雅臣
スマートはプリウス誕生の翌年となる1998年に新たな価値を持つ自動車として発表された。ただしそのコンセプトは1970年代にまで遡る。メルセデス・ベンツは当時から都市のためのモビリティ=シティ・コミューターを構想しており、その時点で既に「2.5mカー・コンセプト」を発想していた。これは1982年にコンセプトカー「NAFA」(Aクラスもここからヒントを得ている)へと発展し、我々の前に姿を表していた。
それから20数年の時を経て、スウォッチとメルセデス・ベンツのコラボレーションによって「Smart」として日の目を見た。当初のコンセプト通り全長2.5mで登場したスマートの狙いは、実に多岐に渡る。都市交通への新提案であると同時に、環境問題への解答でもあり、自動車の拡大路線およびメルセデス・ベンツ自らへのアンチテーゼであり…自動車に付随するあらゆる概念を変えるものでもあった。
ただそれは今思えば、時代が現在のように緊迫していなかった分、判りにくくもあった。もっともそうした判りにくさを救ったのが、スウォッチとのコラボによって手に入れたファッション性=従来の自動車にはなかった魅力だった。加えてパリやローマといった歴史ある欧州の大都市は路地も多く、気軽さと使い勝手の良さで人気を得た。また当初の話題性から、ブランド認知は近年稀に見る高さを急速に得たのだった。
しかしブランド認知こそ高かったものの、人気は限定された上に、世の移り変わりの波に上手く乗り脚光を浴びたトヨタのハイブリッドの方が、商品としては判りやすかった。また派生車の失敗も含めスマートは数年前まで一度も黒字にならず、昨年ようやく時代の追い風を受けて黒字へと転換した経緯を持つ。
スマートの「自動車らしからぬ自動車」という当初の魅力に加え、本来持っていた低燃費、低環境負荷が、緊迫した状況によって白日の下に晒され、人々がそれに気づき出したからだ。ついに時代がスマートに追い付いた、というわけだ。
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