「荷物も積めない電気GT」でブランド再建なるか？ ジャガーの次世代EV戦略が抱えるリスク

ジャガータイプ00 開発車両「画像：APOLLO NEWS SERVICE」

“EV専門の高級ブランド”というリスキーな賭け

ジャガーは2027年以降、EV専業ブランドとして再出発を図る方針を示しています。価格は15万〜17万ユーロ（約2600万〜3000万円）とされ、ロールスロイスやベントレーが属する価格帯に踏み込みます。

新しいJEA（ジャガー・エレクトリファイド・アーキテクチャー）と呼ばれるEV専用プラットフォームを採用し、北米向けにはNACSコネクターの搭載も予定されています。

ランドローバーとの明確な差別化も意識されており、デザイン・構造ともに独立した開発体制を築くとされています。

しかし、EV市場の成長が鈍化するなかで、この方針は大きな賭けでもあります。複数のメーカーが内燃機関の併売を続ける中、EV一本に絞るジャガーの戦略にはリスクが伴います。

加えてリアウィンドウを持たない大胆なデザインと、使い勝手を犠牲にしたパッケージングが、3000万円クラスの顧客に受け入れられるかどうかも試されます。

「タイプ00」は単なる新型車ではなく、ジャガーというブランドが再びどの方向に進むのかを占う試金石です。華やかな伝統を背に、あえて難しい道を選ぶ姿勢が功を奏するかどうか。その答えは、2027年に明らかになりそうです。

（終わり）

（写真：APOLLO NEWS SERVICE、ジャガー、ポールスター）