WRX STIとシビック タイプRをサーキットでガチ対決させる
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:望月 浩彦 1
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:望月 浩彦 1
エンジン・スターターボタンを押すとあっさり目覚めたタイプRのエンジンは、いかにも軽々と回る感覚がある。シフトもレバーが短く、操作感も軽くコクッと入るタイプで、WRX STIと比べると操作系のあらゆるものが軽く感じる。
走り出してまず印象的なのは、なんと乗り心地の良さ。WRX STIよりも大きな20インチサイズのタイヤを履いているにもかかわらず、WRX STIの時とは路面から伝わってくる感覚が異なる。路面が滑らかで平らに感じるし、WRX STIの時のザラついた路面の感じはない。
もっともこれはモード切り替えがコンフォートになっていたからで、スポーツと+Rが選択可能。サーキットだし当然+Rモードを選ぶと、サスペンションは減衰力が高まり、よりダイナミクス追求型へと可変する。もっとも、それでも乗り心地は悪くないのが新型タイプRの凄いところだろう。
同時にステアリングやスロットルもダイレクト感が増す。新型はヒール&トゥを不要とするレブマッチシステムを採用しており、ダウンシフト時にブリッピングをしてくれるのだが、そのレブマッチシステムも通常よりレスポンス良く素早く行われるように変化する。
+Rモードで走り始めてまず印象的なのが速さ。320ps/400Nmは、WRX STIよりもパワーで12ps上回る一方、トルクは22Nm低い。なのになぜ速いのか?
実はWRX STIとシビック タイプRを比べると、タイプRは約100kg軽量。これが相当に効いているのだ。
エンジンのフィーリングは当初感じた通りで、+Rモードになると一層軽く吹け上がり鋭い加速を生む。WRX STIに比べるとサウンドこそ気持ちよく響き渡るものの、回転感に情緒的なところはなく、まるでモーターのように回転が上昇し、とにかく速さを痛感する。その意味において、パワー感は圧倒的にシビック タイプRに分がある。
ハンドリングも驚かされた。タイプRはFFなのだが、袖ヶ浦フォレストレースウェイではFFであることをほとんど感じさせない。特に中速コーナーでは、コーナリング中でも操舵していくとグイグイとノーズが入っていくほどで、とにかくキレイなコーナリングフォームで曲がっていくことに驚かされる。いかにリアのマルチリンクサスペンションが良く動いているかの証だろう。もっともこの時には、アジャイルハンドリングアシスト等も相当に効いているはずだ。
結論としてはFFでも実に気持ちよく曲がるハンドリングを持っていることは確かで、ここはFF=曲がらないという常識を覆される。
唯一FFを感じるのはタイトなコーナー。ここでアクセルを早く開けるとフロントタイヤは空転してコーナーの外側へとふくらんでいく。しかしながら、それ以外のシーンではFFならではのトルクステアはほぼ皆無であり、実に見事にトラクションがしつけられていると感じたのだった。
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