up! GTIにはクルマ好きが一度は知るべき日本車にない別世界がある
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:中野 英幸
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そしてその浮きっぷりは、走りでもよい方向で発揮される。日本の低いスピードレンジで走らせるup! GTIは、1リッターターボを搭載するシティコミューターとは思えないほどシッカリしている。
アウトバーンを全開でカッ飛ぶ可能性をもきちんと想定されたシャシーは実に骨太。それを支えるサスペンションは、そのほとんどが100km/hを上限とする日本の高速道路ではフラリともしない。かといって必要以上にダンパー&スプリングが固められていないから、日本特有の目地段差に対しても乗り心地がちゃんと確保できている。
かたやハンドルを切り込めば、操舵初期からタイヤのグリップが立ち上がり、狙ったラインを正確にトレースできる。ストロークをそれほど長くは取れないであろうリアサスペンションは、車体がロールしてもしっかりとタイヤを地面に押しつけ安心感が高い。ドライバーの技量によってキビキビ走ることも、安定して走ることもできる間口の広さを持っている。
面白かったのはその1.0TSIターボが、ヨーロッパにいたときよりも一段と荒々しく感じられたことだった。街中では3気筒エンジン特有のビート感を響かせながら、“ズドドドド”と吹け上がる。高速巡航ではその排気脈動が高回転でトーンを揃え、“ビーン!”とトップエンドまで回って行く。フォルクスワーゲンとしては初となるガソリンエンジン用粒子フィルターの影響はあまり感じられず、パーシャルスロットルからアクセルを踏み込んでもそつなくトルクが追従してくるのは、燃調セッティングになんらかの変更があったからなのだろうか?
ともあれ6速MTを目一杯引っ張って、この鼓動を感じながら走っていると、日本では遙か昔に失われてしまった“クルマを動かす”愉しさが、ブワッとあふれ出してくる。116psのパワーは必要にして十分であり、200Nmのトルクは全域で柔軟である。
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