日本発表直前の「e-tron GT」に一足先に試乗した。アウディの考える電気自動車スポーツカーの出来栄えとは？

0-100km/h加速はノーマルGTが4.1秒、RSが3.3秒

パワートレーンはタイカンと基本的には同一で、前後に2基のモーターを搭載。フロントのモーターはe-tron GT クワトロもRS e-tron GT（以下RS）も238PSだが、リヤは435PSと465PSと差別化される。システム出力は前者が476PSと630Nm、後者が598PSと830Nmで、e-tron GTは0-100km/h加速が4.1秒、最高速度が245km/h､RSは3.3秒と250km/h発表されている。

また搭載されるバッテリーは84kWhで、800Vの急速充電システムに対応、航続距離は最大で488km（GTのWLTPモード値）に達する。

車重2.3トン以上にもかかわらず、GT（RSはさらに…）の走りはダイナミックで快適だ。アウトバーン走行が主だった往路では、ドイツの推奨速度130km/hでフラットな乗り心地を感じながらのクルージングを楽しめた。もちろん、その気になれば追い越し車線に出てアッと言う間に200km/hを超える速度に到達する。

中間地点での充電は800Vのアーキテクチャーが可能にする最大270kW（※日本の一般的な急速充電器で50kW）の急速充電で、わずか5分で100km走行分の充電が可能なことが確認できた。

再びアウトバーンに戻ってのクルージングでは音楽を楽しむ余裕も出てきた。アウディは元々カーオーデオに凝っており、筆者もプライベートの「A5」ではバング＆オルフセンを楽しんいるが、このGT／RSにもプレミアムサウンドシステムが搭載されている。もともとEVで静かな上に、ノイズダンパーを挟んだアコースティックサイドガラスなども採用し、キャビン内は文字通り走るコンサートホールになる。

アウディはEVサウンドづくりにも真剣で、RS（GTはオプション）には外界と車内のために2組のコントロールユニットとアンプを搭載、トランク内の2基のスピーカーから外向けと内向けの音を出す。ドライブペダルを踏み込むと加速に応じて発生するサウンドは私には心地よく感じたが、好き嫌い、あるいは状況によってアウディ ドライブセレクトで調整も可能だ。

アウディe-tron GTとRS e-tron GTは既にドイツでは予約注文が始まっており、前者のベーシック価格は9万9800ユーロ（約1300万円）、後者は13万8200ユーロ（約1800万円）と発表されている。アウディによれば主な市場はアメリカが50％、ヨーロッパが25％、残りの25％が日本を含む地域に振り分けられる。日本の販売スケジュールや価格は4月6日にアウディ・ジャパンから発表があるはずだ。

レポート：Alex Ostern／Kimura Office

※取材記者が独自に入手した非公式の情報に基づいている場合があります。