史上もっともスポーティ、S60 Rデザインに試乗
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:菊池 貴之
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T4 Rデザインが搭載するのは1.6リッター直4ターボ。いわゆるダウンサイジング直噴ターボだ。パワースペックは180ps/240Nm。自然吸気エンジンのトルク相場は100Nm/Lだから、このエンジンは1.6リッターにして2.4リッタークラスのトルクを備えていることになる。しかもその最大トルクを1600~5000rpmという幅広い回転域で発生しているため、低中回転域を多用する日常ユースでの力感は3.0リッタークラス並みと言っていい。
組み合わせるトランスミッションは6速DCT。トルコンを介さないため駆動ロスが少なく、MTと同等の燃費効率を期待できるとともに、トルコンスリップのないダイレクトな走行フィールを味わえるのも持ち味だ。
一方、DCTはトルコンによるトルク増幅効果がないため、ターボの過給圧が十分に高まっていない発進直後の力感では不利になる。しかしそれを単なる一般論だと片付けてしまえるぐらいに、T4 Rデザインの出足は力強い。もさっとした印象はまったくなく、1540kgのボディを力強く発進させるのだ。そんななかちょっと注意が必要なのは“急ぎめの発進”をしたとき。普段は意識させられないものの、やはりターボラグはそれなりに存在する。アクセルを多めに踏み込んで発進すると、一瞬遅れて過給が立ち上がり、グワッと一気に加速が盛り上がって慌ててアクセルを戻すシーンもあった。慣れるまではアクセルワークに少々気を遣ってやる必要がありそうだ。
S60は、ボルボの常識を覆すダイナミックでスポーティなキャラクターによって高い人気を獲得した。そこに加わったRデザインは、CクラスのアバンギャルドやAMGスポーツパッケージ、A4のSライン、3シリーズのMスポーツパッケージ(現行モデルにはまだないが)といった、ドイツのライバルたちにとって強力なライバルになるだろう。とりあえずは100台の限定販売だが、人気が高ければ正規のカタログモデルに昇格する可能性はかなり高いし、ステーションワゴンのV60にもおそらくT4 Rデザインが登場するだろう。2011年、ボルボの販売台数は対前年比52%アップとなった。V字回復の原動力であるS60/V60シリーズの快進撃は、当分の間続きそうだ。
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