新型ジムニー&ジムニーシエラ試乗 世界に自慢したいニッポンのオフローダー
掲載 更新 carview! 文:塩見 智/写真:篠原 晃一
掲載 更新 carview! 文:塩見 智/写真:篠原 晃一
ジムニー、シエラともにエンジンは新世代へ切り替わった。ジムニーが積むのはアルトワークスをはじめ、現行の多くのスズキ車に採用されるターボエンジンだ。例によって軽自動車の最高出力は64psに事実上制限されているため、先代よりもパワーアップしたわけではない。燃費効率や環境性能を向上させるための変更だ。このエンジン、車重が670~740kgのアルトワークスに載せるとそこそこパワフルなのだが、1030~1040kgのジムニーに載せると必要最小限という印象。副変速機が備わるため、オフロードでトルク不足を感じることはない。静粛性が明確に向上したが、それは車体側の遮音対策の結果だろう。
速く走らせたいならほかを当たるべきではあるのだが、無意味な64psの規制を取っ払って80psくらいにすれば、もう少し伸びやかに走らせることができるのに惜しいなと思う。まぁ軽自動車メーカーにしてみれば、登録車との税制の差をさらに縮められると困るので、このタイミングで下手に目立つことはできないだろう。
シエラは従来の1.3リッター直4自然吸気エンジンに代え、新たに1.5リッター直4自然吸気エンジンが採用された。スイフトスポーツの1.4リッター直4ターボはぜいたくだとしても、クロスビーの1リッター直3ターボ+ハイブリッド、あるいはせめてバレーノの1リッター直3ターボ(非ハイブリッド)を採用してもよかったと思うし、スズキ社内でも議論があったようだが、結局、おとなしい自然吸気エンジンが彼らの最終決断となった。
今回シエラに試乗できたのは一般道を10分×2回という限られた時間だけだったので断定的なことは言えないが、印象に残るエンジンではない。全域でやや非力。といっても辟易とするほどではない。チーフエンジニアの米澤宏之さんいわく、仕向地ごとにエンジンを変更すると開発コストが上がるため、1種類で全市場に対応させたい。そのうえでオフローダーとしての性能要求(極低回転での一定のトルク)、燃料品質に対する寛容度、販売価格などを考慮した結果、この選択になった。理解はできるが、別の選択肢“も”あってよいのではないか。日本では排気量が小さければ税制上有利でもあるし。長く売るクルマなので今後に期待したい。
トランスミッションについて。ジムニー、シエラともに5MTと4ATを選択できる。どちらを選んでも大勢に影響はないが、5MTのほうが常時エンジンの回転を自分のコントロール下に置くことができる分、痛痒を感じにくいかもしれない。ギアリングはやや異なるものの、どちらも基本的に先代からのキャリーオーバーだ。しかたない。エンジンが縦置きなので他の軽自動車用のATもMTも使えない。かといって1車種のために新設計するわけにもいかないのだ。技術的にやれないわけではないが、価格に反映されてしまう。
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