ケイマンR、ボクスタースパイダーとどう違う？

ケイマンRかボクスタースパイダーか？

クローズドコースでのケイマンRの振る舞いには本当に説得力があった。試乗コースにサーキットを用意したポルシェの意図には深く納得。きっとボクスタースパイダーと比較してどんな風に評価されるのか、彼らもよーく解っていたんだと思う。さすがである。

もし乗るのが一般道オンリーなら、筆者のオススメはボクスタースパイダーだ。その走りの羽根のような軽さは驚異的なほどだし、クローズ時の簡素化されたソフトトップ、あるいはオープン時のダブルバブル形状のカバーリッドのもたらすビジュアルのインパクトは大きい。実際、すでに路上を走り出しているボクスタースパイダーを見ると、思わず目で追ってしまう。あのストイックな存在感は希有なものだ。

ではケイマンRはと言えば、このクルマは走りに真剣に対峙したい人、特にサーキットを走らせたいという人に乗ってほしい。踏めば踏むほど、限界に近づけば近づくほど発揮される真価は、率直に言って公道ではほとんど発揮できないだろう。一方でフットワークもエンジンも、あるいは耐久性などの部分も、クローズドコースで思い切り走らせたくなるクルマに必要な要素は、そこに余すことなく揃っている。

実は今回サーキットで試乗したクルマも、朝一番から一般道を走ってきたクルマを、一応チェックはされつつも、そのまま託されたのだった。サーキット用に別のクルマが用意されていたわけではなく、ブレーキもタイヤもそのままだったのである。しかも試乗会の期間中、それが毎日繰り返されていたのだ。ポルシェとは、そういうクルマなのだ。

好評のボクスタースパイダーと、同じような意図で、同じようなソリューションで生み出されたケイマンR。しかしポルシェは、それを見事にキャラクターの異なる独自の魅力をもったスポーツカーへと仕上げていたのである。