インサイトvs現プリウス 燃費＆総力勝負・前編

インサイトのモーターは黒子役

＜首都高速編＞

まだ薄暗い朝の5時。2台のハイブリッドカーと、もう一台の飛び入り参加車が東京中央区のカービュー編集部前に集合した。インサイトとプリウス、そして先代VWゴルフのトレンドラインだ。スタート風景を軽く撮影した後、銀座インターから都心環状線に。不景気のためか最近交通量がめっきり減った首都高速。早朝の環状線はスイスイ流れ、時速60km程度のペースを保ったまま一度も止まることなく4号線下りへと入っていった。燃費的にはもっとも有利な状況である。

このセクションで僕がステアリングを握ったのはインサイト。1.3リッター直4エンジンと低出力(10KW)モーターを“直結”したインサイトのドライブフィールは、プリウスと比べるとモーターの存在感がはるかに低い。モーターの音はまったくといっていいほど聞こえてこないし、エンジンを止めたままモーターのみで走るモードもないからだ（厳密には全気筒のバルブを閉じ燃料供給もカットしているがピストンは上下しているしクランクシャフトも回っている）。文字通りのエンジン停止は停車中のアイドリングストップのみ。そんなわけで、なんの予備知識もなく乗ったらハイブリッドであることに気付かない人がほとんどだろう。

とはいえ、そんな人でもインサイトのエンジンが1.3リッターであると知ったら驚くに違いない。発進加速は十分に力強いし、クルージング状態からアクセルをスッと踏んでいったときの力感もなかなかたくましい。これは、黒子役のモーターがしっかりと仕事をしている証拠だ。いずれにしても、モーターの存在感を「ハイブリッドらしくて面白い」ととるのか、それとも「違和感」ととるのかで、インサイトとプリウスの評価は変わってくる。

ここまでの燃費はプリウスが22km/L、インサイトが20.8km/L、ゴルフが16.3km/L。プリウスを超えることはできなかったが、インサイトの健闘ぶりは特筆に値する。