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スズキ「ワゴンRスマイル」試乗記 ライトな人とカーマニアに向けた二部構成でお届け

第二部:パッケージングは最高だがパワーが欲しい

……というのが「走行性能うんぬんではなく、とにかく便利で経済的であることを重視したい」という人に向けて書いた第一部であり、以降が、ある程度以上の車好きである諸氏に向けて書く第二部である。

第一部で述べた「便利でかわいい、でも決してかわいすぎない実用的な軽自動車を手頃な予算で探している人には、ワゴンRスマイルは絶対的におすすめできる一台」という言葉にいっさいの嘘はない。

だが、それをそのまま「車好き」の諸氏にまで当てはめてしまうと、本件に関係する全員が不幸になるだろう。

ワゴンRスマイルは、甘み成分を抑えたデザインと、実直かつ便利なパッケージングを持ち合わせることにより、例えば筆者のような「車そのものと運転が好き」みたいな人間にも「……コレ、ちょっといいかも。買ってみようかな?」と思わせる車だ。

まぁ人にもよるのだろうが、筆者の場合はスポーティでハイパワーなクーペなどでぶわっと走ることも好むが、それと同時に「実直な四角い車(例えば昔のフォルクスワーゲン ゴルフみたいなやつ)でのんびり旅に出る」みたいな“走り”も好むからである。

だがワゴンRスマイルは、誠に残念ではあるが「旅」にはまったく向いていない。向いているのは、平坦な都市部に住まう人が、買い物や趣味などに楽しく便利に使う――という使い方だけなのだ。

平坦な道を走る分にはノンターボエンジンであっても何ら問題はないワゴンRスマイルだが、山坂道の上りセクションにさしかかると最高出力49psのR06D型エンジンはモーモーとうるさくいななき、CVTはただひたすら回転を上げ、車はあまり前に進まない(いや、もちろんいちおう進むが)……という状況になってしまうのだ。

「これは筆者を含めて体重60kg台の男3名が乗っているからか?」と思い、筆者以外の2名を車外に追い出したうえで同じ箇所を走ってみたが、やはりR06D型エンジンはモーモー言い、車はあまり前に進まなかった。

旅の道のりが「平坦な道と下り坂だけ」というなら問題はないが、そんな旅路はあり得ない。大変残念ではあるのだが、現状のワゴンRスマイルは「都市部スペシャル」であり、旅人や釣り人などには向いていないのだ。

まぁそれはスズキが割り切って決めた方向性なので、外野が文句を付ける筋合いはいっさいない。だが素敵なデザインと素敵なパッケージングを有する車であるだけに、残念ではある。

今後、場合によってはターボエンジンの追加や、ターボではなくても何らかの方法で「山坂道の上りも苦にならないパワー&トルク」を獲得させる可能性も「なくはない」とのことなので、この手の車でのんびりと旅に出たい筆者としては、ターボエンジンまたは別手法の登場を心待ちにしたいと思う。

ただ、現状のノンターボエンジンであっても、スズキの想定どおりの使い方――つまり平坦な都市部で、主に買い物などだけに使うという乗り方をするであれば、濃いめで辛口な自動車ファン各位であっても、ワゴンRスマイルの走りに大きな不満を覚えることはないはずだと、最後に断言はしておきたい。

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