輸入コンパクトSUV本命 VW・ティグアンに試乗！

“なんちゃって”ではない

前のページで、ティグアンはクロスゴルフよりも本格的なSUVに近い存在だと書いた。その最大の根拠となるのが駆動方式だ。FFであるクロスゴルフに対し、ティグアンは4WDシステムを搭載している。これだけでも大違いだが、ティグアンの4MOTIONは第4世代のハルデックスカップリングをもつ最新式へと進化している。

従来の4MOTIONは、前輪がスリップしたのを検知してから後輪に駆動力を配分するスタンバイ式4WDだった。それに対し、ティグアンが搭載する最新式4MOTIONは新たに電動油圧ポンプを搭載することで、前後輪の回転差に依存しないで前後のトルク配分を自由にコントロールできるようになった。たとえば発進加速時には、前輪がスリップしなくても駆動力をほぼ100％後輪へ伝達するし、高速道路でも常に後輪にわずかな駆動力を配分しつつ、ケースバイケースでトルク配分をコントロールすることで直進安定性を高めている。雪道やオフロードに行かなくても4WDのメリットを享受できるという意味で、電子制御式フルタイム4WDに近づいたと言っていいだろう。後述するように、本格的なオフロード走行では少々物足りない部分も出てくるが、スキーを含めた常用ユースであれば、十分すぎるほどのポテンシャルを持っていると報告できる。

プラットフォームはゴルフと共通だが、単純にゴルフのシャシーに異なるボディを被せたわけではない。フロント周りはパサートから流用しているし、リアサスペンションもパサート4MOTIONをベースにしている。多種多様な持ち駒からコンセプトにもっとも適切なコンポーネントを探し出して一台のモデルを作り上げる…これは他のメーカーもやっているきわめて現代的なクルマ作りだが、VWがひと味違うのは、それぞれのコンポーネントが非常に高い実力を持っていること。結果として、出来上がったクルマの実力も高くなる。次ページからはティグアンの走行フィールを見ていくことにしよう。