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ポルシェ カイエンの最速グレード、ターボ GT開発の背景。その万能ぶりにWRCチャンプが、お前たち一体何をしたんだ?

公道もサーキットも乗り心地とハンドリングのバランスが絶妙

スウェーデンのゴットランドで開催された試乗会に現れたカイエン ターボ GTクーペは17mmローダウンしたスポーツシャーシに22インチホイールを履いた低く精悍な姿が印象的だ。また、インテリアはすべて専用のアルカンターラとカーボントリムで仕上げられ、ターボGTロゴが縫い込まれたヘッドレストをもつ素晴らしいサポート形状のスポーツシートが備わっている。

いつものように左手でスターターを回すと、タコメーターの針は911を思わせるような敏捷さでレッドゾーンに向けて跳ね上がる。ターボ GTのパワーはわずか90psと80Nmの増加だが、そのダイナミックな動きは数字を以上に力強く、スムーズな8速ATを介して瞬時にスウェーデンの法定速度110km/hに達してしまう。

リジリティが15%アップされた3チャンバーのエアサス、4WS、PASM(ポルシェ・アクティブサスペンション・マネージメントシステム)、そしてPDCC(ポルシェ・ダイナミックシャシー・コントロールシステム)などすべてのアプリケーションが高度に最適化されているおかげで、公道でもサーキットでも乗り心地とスポーツハンドリングのバランスの良さには驚かされた。

ポルシェのブランドアンバサダーでかつてのWRC覇者、ワルター・ロールが最初のこのターボ GTに試乗した時、そのハンドリングに驚いて開発エンジニアに「お前たち一体何をしたんだ?」と言ったビデオを見たが、試乗を通じて彼の気持ちが良く理解できた。

こうしてハイパーSUVを丸1日楽しんだ後に、正直言って心の奥では少々引っかかるものを感じていた。このカイエン ターボ GTが1km走るごとに排出する二酸化炭素の量は271g(NEFZ:メーカー公表値)という点だ。プリウスのおよそ3倍、妙な比較だがニューヨーク・リブアイステーキの1人分にも相当する。

ポルシェの今年半期の総販売台数は15万3656台で、前年同期のプラス31%と過去の記録を更新した。その主役は昨年の12%増のカイエンで、出荷台数は4万4050台であった。つまりカイエンは相変わらずポルシェビジネスの重要な牽引役だ。

買う人がいるから売れるものを作るというのはマーケティングの原理で、資本主義下の企業としては当然の行為であるが、一方でCO2ゼロのタイカンをカタログに載せ、環境への配慮を示しているポルシェの経営陣は矛盾を感じないのだろうか?

ともあれこのカイエン ターボ GTはすでにドイツですでに予約注文が始まっていて、日本でも6月末からポルシェジャパンが2725万円で受注を開始している。

※取材記者が独自に入手した非公式の情報に基づいている場合があります。

【 カタログ情報 】
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