トヨタ ヴォクシーは家族グルマとして悪くない選択だが割とヘビーな欠点が気になる
掲載 更新 carview! 文:伊達軍曹/写真:編集部 7
掲載 更新 carview! 文:伊達軍曹/写真:編集部 7
車内各部のデザインや質感はどことなく「建売住宅」っぽい感じで、つまり各部がやや小さめにできていたり、値段の割にはちょっと安っぽかったりもする。だが同時に「建売りだっていいじゃないの! 戸建てに住めるというだけで十分幸せなんだから!」という見方だって世の中にはある。
その意味で、パッと見はなんとなく豪華でなんとなく都会的でもあるインテリアに包まれながら「家族でのおでかけ」を楽しむという行為は、決して否定されるべきではない。
各媒体で繰り返し紹介されている話ではあるが、後部スライドドアの開口部は広くかつ低床であるため、乗り降りはかなり容易。そして7人乗り仕様の2列目キャプテンシートは810mmの超ロングスライドが可能ゆえ、レッグルームにはひたすら余裕がある。
ただし左右方向は建売住宅的に狭いと感じた。キャプテンシートの肘掛けに肘をのせると、横の乗員の肘とぶつかってしまうのだ。4名乗車の際は、内側の肘掛けは無用の長物と化すだろう。
そして室内高も1400mmはあるため、小学生男子(例えばサッカー少年)であれば車内で立ったまま着替えが可能。そしてサードシートへのアクセスも大変に容易である。
今回の試乗車であるHYBRID ZS(7人乗り/FF)の車両本体価格は328万6440円で、もろもろのオプション装備を含んだうえでの支払総額は400万円ちょいぐらいになるだろうか。
「400万円ちょいの車」というのは、個人的にはなかなか高いと感じでしまい、特に「走らせる楽しみは特にない車に400万円ちょい」というのは、いささか割高に感じる(※個人の感想です)。
だがそれはヴォクシーを「車」だと思うから高いと感じるのだ。
ヴォクシーは、あるいはヴォクシーと同ジャンルに属するミニバンは、古典的な意味での車ではない。「走る狭小住宅」なのだ。ある意味で。
狭小とはいえ戸建て住宅を買おうと思ったら、例えば都内であれば数千万円は下らない。さらにそれを「走る狭小住宅」にカスタマイズしようと思ったら、よく知らないが2億円ぐらいはかかるのではないだろうか?
だが狭小住宅を苦心して走行可能な状態にカスタマイズするのではなく、最初からヴォクシーを買えば400万円ぐらいで済む。超絶格安というか、割安である。
そういった意味で、つまり古典的な意味での「車」ではなく「家族のための移動狭小住宅」が欲しいのであれば、一部改良後のトヨタ ヴォクシーは決して悪くない選択だ。
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