エヴォーラS、「スポーツレーサー」に試乗!
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:北畠 主税
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:北畠 主税
ロータスが昔からそうであるように、エヴォーラSもその美点を最も鮮明に感じさせるのは、エンジンよりもむしろシャシーの振る舞いだった。ビルシュタインのダンパーにアイバッハのスプリングを組み合わせた4輪ダブルウィッシュボーンのサスペンションに、フロントが19インチの、リアが20インチのピレリPゼロを履く脚は、もちろんそれなりに硬いけれど、不快な突き上げなどを見舞ってこないところが、昔から乗り心地のよかったロータスらしい。さらにFRPボディにも、剛性不足の印象は感じられなかった。
それに加えてステアリングが実にスポーツカーらしい。今もノンパワーのエリーゼやエキシージSと違って、さすがにエヴォーラのステアリングは油圧パワーアシストを備えているが、それでもフィールはむしろノンパワーに近く、けっこうな手応えを感じさせながら路面感覚を繊細に伝えてくる。それを切り込んだときのボディの反応も、過敏でない程度にクイックで、クルマのキャラクターとよくマッチしている。
今回の試乗は横浜がベースだったから、ワインディングでコーナリングの限界を味わうといったチャンスはなかったが、首都高のカーブをちょっと速めのペースで抜けるといったレベルの走りでも、軽快でニュートラルな、しかも腰の据わったコーナリングの一端を、味わうことができた。たとえ最上級モデルであっても、ロータスの真骨頂は路面を舐めるようなコーナリングにあることを、あらためて実感できたのだった。と同時に、APレーシングのコンポーネンツを使ったブレーキも、頼りになる存在に思えた。
つまりIPS仕様のエヴォーラSは、魅力的な中量級ミドエンジンスポーツに仕上がっていて、その気になれば普段の足にも使えるクルマではないかと思った。だから、ポルシェのような定番ではない選択を望む個性派は、ぜひ試してみるべきクルマだといえる。
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