新型「エルグランド」よ、いまさら「アルファード／ヴェルファイア」と戦うのか？ 16年ぶり刷新に宿る“わかりにくい魅力”の行方

日産 エルグランド

マニアは理解できるが一般人にはわかりにくいセンス

なぜ勘ピュータがそう結論づけるかといえば、新型エルグランドは「わかりにくい」からだ。

JMS2025で見た実車のエクステリアデザインは、個人的には「なかなかいいやんけ。特にフロントはおしゃれだね」と感じたが、この感覚は決して一般的なものではないだろう。

もちろん何をもって一般的な感覚とするかという問題はあるが、まぁ雑にざっくり考えて、あれを「おしゃれだね」と見る人よりは「大仏みたい」「つぶつぶが気持ち悪い」と感じる人のほうが、おそらくは多いはずだ。つまりはわかりにくいのである。

その点、現行型のアルファード／ヴェルファイアのエクステリアにはわかりやすい美しさがある。あの造形とディテールには、アルファード／ヴェルファイアになど個人的には何の興味もない筆者ですら「いいやんけ。買う予定はまったくないけど、もしも買うならコレだな」と思わされてしまう。

そしてアルファード／ヴェルファイアはインテリアデザインにおいてもわかりやすいニュアンスの「美」があるが、新型エルグランドのそれはちょっとわかりにくい。

筆者などは「なんかこうルノーか、あるいはシトロエンまたはDSの高級車を感じさせる世界観で、ちょっといい感じやんけ」と思うが、新型エルグランドの内装を見てそんなことを思うのは、日本にごく少数しか生息していないフランス車マニアだけだろう。

そして少しだけ前述した「第3世代e-POWER」や「進化したe-4ORCE」「インテリジェントダイナミックサスペンション」などに関しては、未試乗であるため細かいことはぜんぜんわからないが、まぁどうせ乗ればイイに決まっている。たぶんだが、ものすごくいい具合の走りなのだろう。

だが、そこ＝走りの良さにこだわる高級ミニバンユーザーなどほとんどいない――などという暴論を吐くつもりはいっさいなく、みなさんそれぞれが、それぞれなりの考え方と感じ方で「走りの良さ」を求めているはずだ。

しかしその場合でも「第3世代e-POWERがどうのこうの」「インテリジェントダイナミックサスペンションがうんたらかんたら」みたいな自動車評論家的なこだわり方とは、ちょっと違うニュアンスのこだわり方をしているはず。

そのため「第3世代e-POWERとインテリジェントダイナミックサスペンションを採用した→だから爆売れする」みたいにイージーな世界線は発生しにくいのである。