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e-up! でエコラン、クルマの“電化”最前線!

見た目の可愛さとは裏腹にスポーティ

競技中盤でドライバー交代となり、運転席に滑りこむ。ボディサイズから想像するより、運転席からの眺めがいい。ドイツでも、市街地は30~50km/hの制限があるので飛ばせない。が、郊外に出たとたん、70~100km/hに制限速度が高まる。交通の流れを妨げないように、また規定タイムでのゴールを目指す意味もあって、制限速度付近を保って走る。

大聖堂で有名なケルン郊外にあるベンスベルク城までの道のりはドイツとしては異例なほど信号が多く、アップダウンも激しい。エンジン車のup!なら息切れするのでは? と思うような坂道も、モーター駆動のe-up!はぐいぐいと登っていく。60kW/210Nmというモーターの最大出力は目を見張る値ではないが、理論上、発進時に最大トルクを発揮できるモーターの特性を活かして、低速域では特に力強い加速をする。

丘の上の古城を目指して、くねくねと曲がった道をe-up!は軽快に走る。重い電池を床下に積んでいるため、ワインディングロードでも左右にぐらつかず、見た目の可愛さとは裏腹にスポーティに走る。日本に導入されているup!がAMTのみということもあって、EVならではのシームレスな加速もe-up!の魅力のひとつだ。

重心が低く、コーナリング時の姿勢が安定しているのも、運転していて楽しいポイント。どこまでも走って行きたいという衝動にかられるが、今の電池の実力では一回の充電で走れる距離は約160km。実際に日本チームのデータから計算してみた実走行距離も、最大168kmだ。200Vで充電すると、家庭用で約9時間、ウォール固定式なら約6-7時間でフル充電ができる。試乗車は欧米で推進するコンボ式急速充電に対応しており、30分で80%まで充電できるとされている。聞いたところによれば、日本導入モデルは「チャデモ」への対応を思案中だという。

山道を抜け出して、流れのいい幹線道路に入る。グイッと加速をして目的のスピードに達したら、シフトレバーの近くにある「eco」ボタンを押して節電に徹する。最高出力が50kWに絞られて、エアコンの制御もマイルドに変わる。交通の流れに乗って一定速度を保つようなシーンでは、もう一回ボタンを押して「eco+」モードに切り替える。ただし、これはどうしても巡行距離を伸ばしたいときの"緊急避難モード"だろう。出力を40kWまで落とすのはかまわないが、エアコンが切れてしまうからだ。試乗した日は涼しかったため、エアコンを切って走ることができたが、こと日本の夏には適さない。

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