CLSシューティングブレーク&スマートEV試乗
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:中野 英幸
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:中野 英幸
メルセデス・ベンツにとってCLSというモデルは、とても矛盾に満ちた存在かもしれない。なぜならこのモデルはかつてのメルセデス・ベンツの哲学からすれば、“無”の領域に属す商品に違いないはずなのに、現代のメルセデス・ベンツにとってはある意味“最善”ともいえる解答であるからだ。
CLSが属すクラスはそもそもEクラスが受け持っていた。しかし時代が変わってアッパーミドルクラスサルーンの世界にファッション性やトレンドといった風が吹き込むようになると、それまで王道だったEクラスやBMWの5シリーズは、コンサバティブな存在になりつつあった。
そうした中で2004年に登場したのがCLSクラス。ここから“4ドアクーペ”の世界的潮流が生まれる。もっともそれは90年代に日本で生まれたカリーナEDなどにルーツを見つけることもできるがそれらは流れは生まなかった。CLS以降、特にドイツメーカーは定番のアッパーミドルクラスサルーンとは一線を画す、4ドアクーペもしくは4ドアのスポーティなサルーンを続々と送り出していくことになった。
理由はもちろん、CLSの成功があったから。CLSはそれまでのメルセデス・ベンツの哲学でいえば不要なモデルで、実際に自身がCLSをして「世の中に必要のないクルマだが、誰もが欲するクルマ」という表現を添えたほどだった。
しかしそれはメルセデス・ベンツが思い描いていた以上にヒットして人気モデルとなり、他社が続いていったわけだ。そしてもちろんメルセデス・ベンツもこうした“ニッチ”に勝機があることを知り、その後メルセデス・ベンツのラインナップにもニッチを埋めるモデルが次々と増えて行った。そうした経緯を思い返すと、実はCLSというのは現代のメルセデス・ベンツにおける戦略のきっかけだったとも言える。
この流れからするともう、CLSシューティングブレークの説明は不要かもしれない。
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