アウディA8とA7にレベル3の自動運転は付かない…その本当の理由
掲載 更新 carview! 文:塩見 智/写真:菊池 貴之
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レベル3実用化に向け、アウディはA8に量産車初採用となるレーザースキャナーをはじめとするカメラおよびセンサーを、それらを統合制御するセントラルドライバーアシスタンスコントローラー「zFAS」と合わせて搭載することで、認知、判断、操作の自動化に取り組んだ。フロントグリル奥に搭載されるレーザースキャナー(ライダーとも呼ばれる)は、赤外線パルスを前方約145度の範囲で発振し、その反射光を750rpmで回転するミラーのフォトダイオードで検知し、80m先までの周辺の物体と形状を3次元で認識する。このほか5個のミリ波レーダー、5個のカメラ、12個の超音波センサーの計23個のセンサーが搭載される(認知)。認知した情報をNVIDIA製のSoCなどを統合したzFASが瞬時に解析し(判断)、ステアリング、アクセル、ブレーキを自動操作する。
この結果、技術的にレベル3を実現するハードは整った。実現に向け、ドイツにおける道交法なども改正された。しかし、安全・環境基準を国際的に調和させたり、自動車の認証(型式指定)を相互承認(いずれかの加盟国の認証を受けていれば他国でも同様の扱いとすること)させたりすることを目的としたWP29(自動車基準調和世界フォーラム)のステアリング専門部会において、現時点で認められているのは「10km/h未満の自動操舵」「ステアリングを握った状態での車線維持」のみ(自動駐車がすでに実現しているのはこのため)。
まだレベル3の自動運転が認証された国はなく、A8も本来持てる機能をフルで発揮できるような仕様では出荷されていない。市販モデルにできることは他のメーカーと同じレベル2でとどまっているのだ。仮に、WP29で10km/h以上の自動操舵を認めることになったとしても、すでに購入したA8をOTA(通信によるアップデート)などでレベル3運転可能とすることはできず、車両を買い換える必要がある。
言い方を変えれば、認証されるめどが立てばアウディ以外のメーカーも即座にレベル3を投入してくるはずだ。
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