ボルボで北極圏を走破! 厳環境から生れた哲学
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗、九島 辰也/写真:ボルボ・カー・ジャパン
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗、九島 辰也/写真:ボルボ・カー・ジャパン
九島:このクルマに関しては以前行われた“スウェディシュ・ラグジュアリー”というテーマの試乗会に参加させてもらっているから2度目の本国試乗だけど、外の世界から見るとスウェーデンの生活そのものがラグジュアリーなんだよね。5人にひとりがサマーハウスを持っていて、6人にひとりがヨットを持っている。そのフツウがすでに贅沢。でも、日本のマーケットだとS80シリーズは高級車として認識されていない。なんとかこの価値観を伝えたいところなんだけど。
岡崎:他のプレミアムブランドのクルマがグリルを大きくしてライトも強調して、どんどん強い顔つきになっていくなか、S80はアンダーステイトメントが売り。そのあたりがいいところでもあるんだけど、S80のわかりにくさでもあると思うんです。例えばBMWのキドニーグリルやアウディのシングルフレームグリルのような手法で存在感を際立たせれば、多くの人に理解してもらいやすい。でもそれをあえてやらない。ボルボはそれをスカンジナビアン・ラグジュアリーと表現していますが、別の見方をすると、今のドイツの高級車が失くしてしまったバウハウス的価値観を残しているのが北欧なのかもしれませんね。シンプルだけどディテールを徹底的に磨き込んだモノに囲まれる心地よさがボルボにはある。
九島:わかるよ、すごくわかる。でもニッポン人的にいうと輸入車を買うためのキャッチーなところがない、ということになるんだろうね。
岡崎:そこを上手にライフスタイルに活かせるとカッコよく乗れるんじゃないかなとは思いますけど、それってたしかに高等ワザですよね。九島さんがさっき言ってた『スウェディシュ・ラグジュアリー』なんてものはこの日本には存在しませんから。あえていうなら、儲かってると思われたくない人にいいかもしれない。サラッと自然に乗りこなせるとか、ちゃんとした人に見えるとか(笑)。
九島:ノリとしては昔のレンジローバーだね。何気なく助手席にバーバリーがおいてあったりして。それが気負いを感じさせず自然な風景みたいな。ひとつ苦言を呈すると、カーナビの装着位置だけかな。あのインテリアの雰囲気が崩れちゃうから。
岡崎:それは僕も思うな。将来的に上手くまとめてほしい唯一のネガだと思います。
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