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G63AMGに海外試乗 Gクラスがアップデート

「ゲレンデ」と呼んでくれ

Gはゲレンデの略だ。ドイツ語ではスキー場のような本格的な悪路をイメージする言葉だが、通はGクラスのことを「ゲレンデ」と愛着を込めて呼ぶ。直線を組み合わせた無骨なラインは個性の塊だ。この肉食系SUVの頂点に君臨するのが2台のAMGモデルだ。

直角に切り立ったフロントウインドウだが、2012年モデルに1979年式のフロントガラスも取り付けられるそうだ。“良い技術は生き残る”ということがよく理解できる。ドアロックは牢屋のカギが開くようにガチャンと物々しい。このように随所にゲレンデのユニークな特徴を探すことができるが、ヘッドライトがLEDで武装しているところは現代風だ。

キーを捻るとV8ターボが目を覚ます。スロットルを床まで目一杯踏み込むと大きな唸り声を上げながら疾走する。アウトバーンに入るとアッという間に160km/hを超える。だがゲレンデはMLやGLKと違って、スピード感がある。160km/hでもすごく速いと感じるくらいだ。

いくら私でもゲレンデで200km/hを出すのは勇気がいる。ステアリングの直進性は問題ないが、レーンチェンジではステアリングの操作タイミングを早めにしないと合わない。ダイレクトではなく、捻れながら操舵する感覚だ。この後にCクラスベースで開発されたGLKに乗ったが、まるでゴーカートに乗っているようなダイレクトな感覚であった。だが、高速を30分も走るとゲレンデの感覚に慣れてくる。人間の手のひらにタイヤの接地感が見事にミートし始めた。

SL63と同じAMGサウンドはいつの間にか子守歌に聞こえてくる。そのパンチの利いたエンジンは控え目にしてもらおう。むしろ懐かしく思えるステアリングの手応えに、ゲレンデの歴史の時間を感じることができるのだ。

G63は買えないが、ブルーテックディーゼルのEワゴンオーナーとしてはG350ブルーテックが日本に導入されないか願っている。背は高いが、意外とコンパクトなボディは機動性と取り回しが非常に良かったのである。

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