大成功した「ジャパンモビリティショー2023」からクルマのどんな未来が見えたのか…次回に期待したいことは?
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装い新たに生まれ変わった「ジャパン・モビリティ・ショー2023」は、のべ111万2000人の来場者を集めるなど、成功裏に閉幕しました。
月間数百本の自動車関連コンテンツの制作を手掛ける株式会社ピーコックブルーでは、多くのスタッフが文字通り寝食を忘れるほどの多忙さをもってこのショーの会期を駆け抜けました。
それから少し時間を置いたいま、株式会社ピーコックブルーの代表取締役社長である瓜生洋明が、冷静な視点でこの新たなショーを振り返ってみたいと思います。
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今回のショーがこれまでと大きく異なるのは、言うまでもなく「モーター(クルマ)」のショーから「モビリティ(乗り物)」のショーへとコンセプトの変革を遂げたことです。
<写真:三菱とライフハブのコラボレーションモデル「Last 1mile Mobility」(ラストワンマイルモビリティ)>
こうした変革自体は、いまの自動車産業の流れを考えるとごく自然なものと言うことができます。
ただ、実際にショーを眺めてみると、やはり「クルマ」が中心的な存在となっていたように思います。
ホンダやスバルのように、従来よりさまざまなモビリティを提供しているメーカーはその特徴を活かしてよりバラエティに富んだ展示となっていた一方で、「クルマ」の展示が大部分を占めていたブースも少なくありませんでした。
<写真:ヤマハが出展した3輪オープンEVのコンセプト「TRICERA(トライセラ)」>
もちろん、自動車産業においては今後も「クルマ」が中心的な存在を担っていくと予想されますし、来場者の多くも「クルマ」を観に来ていることと思います。
そのため、ショーの中心を「クルマ」が占めることを否定するわけではありません。
ただ、もしこれが将来の自動車産業の縮図であるとするなら、一抹の不安を覚えてしまいます。
これからもやはり「クルマ」が中心であり続けるのか、それともほんとうの意味での「モビリティ」が中心となっていくのか、次回のショーでその方向性がより明確に見えることを期待します。
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今回のショーでは、これまで見ることのできなかった大小多くの企業の姿を見ることができたのがひとつの収穫でした。
たとえば、中国の自動車メーカーであるBYDです。
BYDジャパンの劉学亮社長による情熱的なプレゼンテーションもさることながら、レクサスやBMWに匹敵する規模の広大なブース、そして新型SUVである「U8」による“タンクターン”の実演からは、このショーに対する並々ならぬ熱意を感じることができました。
<写真:U8>
<写真:U8>
また、大手サプライヤーであるTHKが世界初公開した、実走行可能なEVコンセプトモデルである「LSR-05」も圧巻でした。
<写真:LSR-05>
<写真:LSR-05>
ダイナミックなエクステリアと先進的かつ洗練されたインテリア、そして独自開発のインホイールモーターをはじめとするそのメカニズムは、自動車メーカーのコンセプトモデルと比べても遜色ないもののように思えます。
EVは異業種による参入がしやすいと言われますが、実際には高い技術力を持つサプライヤーの参入が多くなるのではないかということを感じさせる展示でした。
そのほか、国内外のスタートアップ各社のブースでは、担当者による熱心な説明が行われたのが印象的でした。
これらの各社に共通するのは、いずれも「挑戦者」であるという点です。かつての「モーターショー」では出展することが難しかったような企業の姿が見られるのは、「モビリティショー」となったことで間口が広がった証かもしれません。
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2019年以前の東京モーターショーと比べると、電動モビリティ、とりわけBEVの出展が大きく増えたことは明白です。
<写真:メルセデス・ベンツ コンセプトEQG>
カーボン・ニュートラルの達成という至上命題を考えると、将来的に多くのクルマがBEVとなっていくことは避けられません。
そして、自動車産業の「未来」を提示することが大きな目的のひとつである今回のショーで、多くのBEVが出展することはごく自然なことではあります。
しかし、「いま」に目を向けると、日本におけるBEV比率は決して高くはありません。
今回のショーでは、この「いま」と「未来」のギャップが自動車メーカー各社とユーザーの間で依然として大きいように感じました。
多くのユーザーは、街を走るクルマのほとんどがBEVとなる「未来」を実感してはいません。
その一方で、自動車の開発に携わる方のほとんどは、内燃機関に対して限界を感じています。
さらに、そうした状況に加えて政治の問題なども入り混じり、議論はさらに混迷を極めています。
ただ、今回のショーを訪れた多くの人が、来るべき「未来」のモビリティの姿に胸を踊らせたのは疑いようのない事実です。
また、メーカーとユーザーの間にギャップが生じているのは、われわれメディアの責任でもあります。
自動車産業の末席にいる者として、次回のショーがさらに有意義なものとなるにはなにができるだろうか、そう考えさせられたジャパン・モビリティ・ショー2023でした。
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<終わり>
<写真:JMS、THK>
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