新型Sクラス クーペに海外試乗。驚きの逆ロール制御
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:メルセデス・ベンツ日本
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:メルセデス・ベンツ日本
カーブチルティングファンクションについては、挙動が不自然なものになるのではないかと心配したが、ドライビングしてみたらその予想は完全に外れた。S500もS63AMGも挙動に不自然さはなく、逆にコーナリング中のステアリングの効きが明らかに標準状態よりも鋭く感じられるなど、ドライバーに対するメリットが確実に感じ取れた。
いずれもクルマも、コーナーに向けてステアリングを切り込んだ時点でカーブの外側のボディが持ち上がる、というより、始まるはずのロールが始まらずにボディがフラットな姿勢を保ったままコーナーに飛び込んでいく、という印象をうける。だから、ハードコーナリング中にはドライバーもパッセンジャーも明確な横Gは感じるものの、体が傾くということがないから、たしかに通常のクルマより安楽なままでいられる。
しかもこのチルティングモーション、より高いコーナリングスピードが想定されるAMGの方が、通常のS500より1度多く逆ロールするというきめ細かい設定である。
そのためもあって、585psと900Nmを叩き出す5.5リッターV8ツインターボを爆音とともに唸らせてコーナリングしたS63AMGでは、全長5mを超える大型クーペを軽い4輪ドリフトの態勢に持ち込めるなど、驚くべき効果を味わわせてくれた。というわけで、Sクラスクーペを単に大きくて豪勢なだけのクーペに仕立てなかったメルセデスに、僕はある種の畏敬の念さえ抱いたのだった。
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