レクサスSC 430 – 2001年
(翻訳者注:この記事は「後編」です。前編と中編もあわせてお楽しみください)
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レクサスSC 430は、コンセプトの「スポーツクーペ」と4.3L V8エンジンからその名が付けられた。メルセデス・ベンツSLのライバルとして売り出され、電動格納式の金属製ルーフは、同年に登場した新型SLと同様の機構であった。スタイリングは、高級ヨットからインスピレーションを得たと言われる。
名目上は4人乗りだが、後席が狭く、実際には2人乗りだ。装備は非常に充実しており、当時の基準としては何ら不足するものはなかった。しかし、SC 430は他のレクサス車ほどの魅力はなく、9年間で7万2000台を販売したにとどまる。これは同期間のメルセデス・ベンツSL(16万9434台)の半分以下であった。
ルノー・アヴァンタイム – 2001年
パトリック・ルケマンがデザインしたルノー・アヴァンタイムは非常に大胆で、多くの人を魅了した。しかし、残念ながら購入にまで至る人はほとんどおらず、2003年に生産終了となり、販売台数はわずか8500台にとどまる。これにはさまざまな理由があるが、ルノーが同車をBMWやメルセデスなどの高級クーペのライバルとして位置づけたことが、その一因であることは間違いない。
アヴァンタイムの後部座席は4人乗りとしては不十分で、乗り降りも簡単ではなかった。ドアは非常に長く、開閉するだけでも一苦労だ。また、ミニバンのエスパスのシャシーをベースにしたため、いくらクーペボディを載せてもハンドリングの面ではあまり良い結果は得られなかった。そして、マトラが自動車製造から撤退してアヴァンタイムを作る工場がなくなったことが、トドメの一撃となった。
メルセデス・ベンツ・バネオ – 2002年
小型ハッチバックのAクラスの販売成功を受け、メルセデス・ベンツはミニバンタイプの派生モデルを開発した。当時、競合他社の多くがハッチバックベースのミニバンを投入しており、その代表例であるメガーヌ・セニックは販売チャートで上位にランクインしていた。では、新型バネオはどうだろうか? 英語圏では「バン(Van)」という語を含む名称が足を引っ張り、Aクラスをひどくいじったようなスタイルも受け入れられなかった。
バネオの実用性については疑いの余地がなく、Aクラスと同じようにさまざまなエンジンが用意されていた。しかし、よりスタイリッシュなミニバンが次々と登場したため、客足は遠のき、販売台数は3年間で4万6347台にとどまった。
クライスラー・クロスファイア – 2003年
米国車が欧州に輸出されたように見えるかもしれないが、クライスラー・クロスファイアはドイツで構想され、設計、製造されたモデルだ。ダイムラー・クライスラーの不幸な合併により誕生したクロスファイアは、初代メルセデス・ベンツSLKのシャシーとV6エンジンを使用し、オプションとしてSLK 32 AMGと同じ最高出力340psのスーパーチャージャー付きエンジンも設定していた。
問題はブランドにあった。欧州の消費者はクライスラーではなくメルセデスを望んだのだ。その後、メルセデスから2004年に新型SLK(R171)が発売され、クロスファイアはボールナット式ステアリングを採用していたこともあって時代遅れと見られるようになった。インテリアの質感はSLKやBMW Z4、ポルシェ・ボクスターには及ばず、クーペモデルは猫背のような外観であった。本拠地である米国でも販売されたが、そこでさえ敬遠され、クロスファイアは2007年に生産終了となった。販売台数は7万6014台であった。
プジョー1007 – 2004年
プジョー1007は、しっかりとした目的を持って開発された。狭い都市部でも扱いやすい理想的なクルマであり、それでいて、スライド機構付きの後部座席により多目的なラゲッジスペースを実現している。
しかし、背の高いスタイリングとスライドドアに対する消費者の反応は芳しいものではなかった。結果として、1007は合計9万3900台しか販売できなかった。一方で、従来型のハッチバックの207は2007年だけで50万台以上を売り上げた。これ以上は説明不要だろう。
サーブ9-7X – 2004年
9-7Xには、エンブレム以外にあまりサーブらしさは感じられない。米オハイオ州のGM工場で製造され、シボレー・トレイルブレイザーをベースに、4.2L直列6気筒エンジンまたは5.3Lと6.0LのV8エンジンが用意されていた。四輪駆動が標準だったが、サーブらしいデザインの緻密さは一切なく、消費者の目に留まることはなかった。
米国のSUVとしては販売台数がわずかであったため、2009年に販売終了となったのはある意味で当然だろう。兄弟車のシボレー・トレイルブレイザーが2005年だけで25万台近く売れたのに対し、9-7Xの累計販売台数は8万5994台であった。
シトロエンC6 – 2005年
シトロエンはC6の発売時に販売見込みについて大々的にアピールすることはなかったが、DSの新解釈としては好意的に受け入れられるだろうとひそかに自信を持っていた。実際、C6は大胆な外観と快適な乗り心地を備えており、こうした従来とは異なるアプローチが高く評価された。
しかし、C6はファンや購入者から熱心な支持を得たものの、ドイツのライバル車との販売競争には苦労した。フランス国内でも販売は伸び悩み、2012年に最後の1台がラインオフした時点で、C6の合計生産台数は2万3400台にとどまる。これは、高級車市場の保守的な性質を如実に示す結果であった。
スバルB9トライベッカ – 2005年
四輪駆動車の伝統を持つスバルがSUVを投入するのは、遅きに失したとはいえ当然の成り行きであった。ニューヨークのおしゃれな地区から名前を取ったB9トライベッカは、不格好なフロントエンドを備えていたものの、その走りは良く、3.0Lフラット6エンジンから最高出力245psを発生し、十分な加速性能を誇った。ただ、必然的に燃費は悪かった。
2007年のマイナーチェンジでは大型の3.6Lエンジンが導入されたが、同時にフロントエンドも個性を一切排除したデザインに変更されてしまう。これが、米国での販売台数が7万7000台に留まり、同クラスのトップモデルに大きく遅れを取る一因となった。欧州ではさらに状況が悪く、トライベッカは2014年に生産中止になるまで、年間で2桁を売るのが精一杯だった。
ロータス・ヨーロッパS – 2006年
2006年、ロータスはポルシェ・ケイマンへの対抗馬として、エリーゼよりも快適で車内が広々とした新型車の投入を決意する。ヨーロッパSはヴォグゾールから最高出力200psの2.0Lターボエンジンを借用し、0-97km/h加速5.5秒、230km/hという性能を誇った。また、エリーゼに期待されるような爽快な走りも実現した。
問題は、ポルシェのような幅広い能力を備えておらず、また、製造品質もドイツ車に及ばなかったことだ。結局、購入者は困惑し、エリーゼやエキシージを選ぶか、あるいは他のブランドを選ぶことになった。結果として、ヨーロッパSが456台、その後のヨーロッパSEはわずか48台しか販売できなかった。
アプテラ・モーターズ2e – 2008年
アプテラ(Aperta)社の2eは、もっと刺激的なバッテリーEVを作ろうという大胆な挑戦であった。ボディは軽飛行機のような外観で、前輪はエアロポッドに包まれ、後輪は1本だけ後ろについている。最高速度160km/h、0-97km/h加速は6.3秒と謳われた。
これらはすべて、カタログやプロトタイプでは良いように見えたし、2009年公開の映画『スタートレック』にも少しだけ登場した。しかし、2eは数台作られただけで量産に至ることはなかった。その後、同社は年間1万台を販売するという太陽電池バージョンの2eの開発に取り組んでいる。
テスラ・ロードスター – 2008年
テスラは今やEV界で大きな存在となったが、その起点となったクルマは2008年のロードスターだ。ロータス・エリーゼのシャシーをベースに、スポーツタイプの2人乗りEVとして発売。最高出力251psまたは292psのモーターを選択でき、0-97km/h加速4.0秒を誇った。
テスラ・ロードスターの未来は明るいように思われたが、販売はなかなか軌道に乗らず、初期の信頼性の問題が評判を落とすこととなった。英国などで右ハンドル仕様も発売されたが、高額な価格設定がネックとなった。2012年までに世界中で販売できたのは2450台のみ。しかし、ロードスターはテスラの躍進の序章に過ぎない。その後に登場した航続距離約400kmのモデルSは、業界全体に変革をもたらした。
タタ・ナノ – 2008年
タタ・ナノは野心的なクルマであり、インドの何百万人ものユーザーをスクーターやオートバイから四輪車へと移行させることを目指していた。価格は10万ルピー(約2500ドル)で、4人乗りで維持費も低い。さらに、現地生産によりインド国内で雇用を生み出したことも好材料であった。
ナノの失敗は製造品質から始まり、工場が移転したことでさらに悪化した。また、コストを抑えるために装備や機能を必要最低限に抑えたが、これも当時のニーズとは微妙に噛み合わないものだった。初期モデルがたびたび火災に見舞われたこともあり、年間25万台の販売を見込んでいたにもかかわらず、2015年までの累計は25万台にも満たない。
アキュラZDX – 2009年
米国ホンダのアキュラブランドは、ZDXで大胆なデザインを採用し、個性の強さをアピールした。しかし、ターゲットとなる年齢層のドライバーにはあまりにも大胆すぎた。
また、このスタイリングが原因で後方視界が悪く、運転支援システムを使わない限り、駐車やバックが難しい。さらに、最高出力304psの3.7L V6エンジンは燃費が悪い。最終年となる2013年に価格を大幅に引き下げたにもかかわらず、結局4年間で7191台しか売れなかった。
サーブ9-5 – 2010年
第3世代のサーブ9-5の没落の種は、発売されるずっと前から蒔かれていた。2008年の世界的な不況により経営難に陥ったGMは、コスト削減を検討し、スウェーデンブランドがすぐにリストラ対象となった。新型9-5が発表されたばかりの2010年に、サーブはスパイカーに売却された。
しかし、高級スーパーカーを手掛けるスパイカーは、大衆車ブランドへの資金援助を続けることができなかった。資金が底をつき、9-5とともにサーブも姿を消した。
日産ムラーノ・クロスカブリオレ – 2011年
日産ムラーノ・クロスカブリオレのアイデア自体は興味深いものだが、そこで終わらせるべきだった。日産は大型SUVのムラーノの屋根を切り取り、2ドアにして剛性を高めた。しかし、もっと良い外観と走行性能を持つオープンカーは他にもたくさんある。
日産は発売当初、高価なフル装備仕様を1種類しか用意しなかったため、販売はさらに苦戦した。結局、大きな関心を持たれることなく低迷を続け、ムラーノ・クロスカブリオレは2014年にカタログから姿を消した。
ミニ・ペースマン – 2012年
ミニ・ペースマンは、時代を先取りし過ぎたのかもしれない。スポーティなコンパクトSUVとして、3ドアとカントリーマンという2つの人気モデルに挟まれたが、ラインナップの中での位置付けは不明確だった。また、前輪駆動と四輪駆動を選択できたが、ミニの顧客にはあまり響かなかった。
販売台数でカントリーマンに完全に影を落とされたため、ペースマンは4年で販売終了となった。欧州では発売初年度に約8800台を売り上げたが、カントリーマンは5万台を売り上げており、これがペースマンの運命を決定づけた。
クライスラー200 – 2010年
クライスラー200とその兄弟車であるダッジ・ダートについて、フィアット・クライスラー・オートモービルズのセルジオ・マルキオンネCEO(当時)は次のように述べた。
「この2台ほどひどい投資は他に知らない」
企業のトップが言うのだから、これほどまでに手厳しい評価はない。同氏はまた、後部座席への乗降を困難にしているルーフの傾斜は「間抜け」だとして、デザイナーを酷評した。2台の生産中止を発表するまで、マルキオンネ氏は枕を高くして眠ることはできなかっただろう。
「この8年間、FCAで手がけた事業の中で、最も財務的な見返りの少ないものだった」
発売当初、エミネムを起用した注目度の高い広告キャンペーンが功を奏し、順調なスタートを切ったが、年間販売台数は先代モデルの半分以下に落ち込み、2016年には5万7294台、幕引きが決まった2017年には1万8457台にまで減少している。
ゼノスE10 – 2015年
ゼノスE10は、完璧な実績があっても商業的な成功には繋がらないことを示す好例である。これは、ロータスおよびケータハムの重鎮であったアンサール・アリとマーク・エドワーズの構想による軽量ミドエンジンスポーツカーで、2015年にロータス・エリーゼに代わるものとして発売された。価格もエリーゼを5000ポンドも下回っていた。
ゼノスのパフォーマンスとハンドリングは絶賛され、巧みな構造設計とターボチャージャー付きフォード製エンジンも高い評価を受けた。しかし、それだけではヒット商品とはならず、100台が製造された後、姿を消してしまった。クルマ自体の出来の良し悪しが必ずしも売り上げに直結するわけではないということを教えてくれる1台だ。
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みんなのコメント
AUTOCAR JAPAN
ベストカー
カートップ
くるまのニュース
確かに失敗作と言える車は存在するが、時間が経って見直されて、急に希少性が故に価格高騰する車もある。
このようなタイトル記事書く時点で、世の中のカーデザイナーとその失敗作のオーナーに失礼だ。
結果として失敗作になったとしても、意図的にダサくてキモいデザインで何十億もかけて設備投資する自動車メーカーは聞いたことがない。
謝罪してライター引退した方が良い。