毎月200店以上の新車ディーラーを回り、「生」の新車情報を届けてくれる流通ジャーナリストの遠藤徹氏。
部品供給の遅れなどによる工場の停止によって、生産が予定どおりできないことで、新車の納車待ちの長期化が解消されない状況が続いているが、トヨタや日産は間もなくニューモデルを続々と投入する予定。
新型クラウン&シエンタほかトヨタ車最新情報にスカイラインクロスオーバー復活説も!? 国内自動車メーカー最新動向!!!
そのほかにも、今回は新型車情報など、遠藤徹氏が入手した最新情報をお届け!!
※本稿は2022年5月のものです
文/遠藤徹、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年6月10日号
■トヨタは6~10月に新型車攻勢を加速
トヨタは6月~10月に、主軸車種のフルモデルチェンジ、新規モデルや追加モデルの投入、一部改良などの新型車攻勢によって、大規模な増販作戦を展開する構えです。
6月は新型クラウン投入、7月はシエンタのフルモデルチェンジ、そして8~10月はカローラシリーズ、ヤリスクロス、ハリアー、RAV4などの追加モデルの設定や一部改良などによって、商品ラインナップを強化するスケジュールになっています。
トヨタは6月~10月に追加モデルやマイナーチェンジなどを含めたニューモデルを続々と投入する予定。新型クラウンは6月~7月に登場する見込み
■トヨタランドクルーザー300を再び生産開始
トヨタは休止していたランドクルーザー300の生産を再開しました。
なお、生産休止していたこともあって、納期は5年後とさらに1年程度先送りになっています。
受注累計は発売から5万台に達している模様です。上級グレードのZXとGRスポーツを中心に引き合いが多くなっています。
■トヨタは納車まで1年待ち以上のモデルが続出!
トヨタは主軸モデルを中心に、納車まで1年以上待つ事態が続出しています。
ランドクルーザー300以外だと、カローラクロス、ヤリスクロス、ハリアー、ノア/ヴォクシーハイブリッドなどの納期が1年以上待ちです。
人気が高く引き合いが多いうえに、半導体を中心とした部品供給の遅れ、ロシアのウクライナ侵攻、新型コロナ蔓延などの影響が重なっていることが要因です。
今後、納車遅れの車種数がさらに増える方向にあります。
■トヨタヤリスクロスは8月上旬に一部改良の予定
トヨタは8月上旬にヤリスクロスを一部改良します。騒音や排ガスに関する法規対応やボディカラーの再編、グレードの見直しなどが、主な改良の内容です。
ボディカラーはゴールド系など不人気色を廃止し、代わって新色を追加。最もベーシックなXグレードは装備の充実化を図ります。
なお、正式発表前に7月中旬から予約受注をスタートさせる予定です。従来モデルの生産は終了し、見積書の作成はストップさせています。
■日産は5~6月にニューモデルラッシュで大増販攻勢
日産は5月~6月に相次いでニューモデルを投入し、大増販攻勢をかける方針です。
5月に軽自動車ベースの新型電気自動車であるサクラを発表(6月発売)するのをはじめ、6月下旬にはエクストレイルのフルモデルチェンジ、そして新型電気自動車であるアリアの91kwhバッテリー搭載車「B9」グレードの発売、さらにキックスの4WD車を追加設定します。
これまで半導体などの部品供給の遅れで発売が先送りになり、それで5~6月に集中してニューモデルラッシュになったという側面もあるようです。
ただ部品供給遅れの問題は依然解消されていないことから、これらニューモデルが発表、発売になってもスムーズに生産や納車ができなことも予想されます。
■日産スカイラインクロスオーバーが再登場!!?
2009年7月にデビューしたスカイラインクロスオーバー。2016年に販売終了したが、日産がもしスカイラインのSUVを投入したら復活することになる
日産はスカイライン、フーガ、シーマの各ハイブリッド車の生産を中止しました。スカイラインは3Lターボ車のみを継続生産しています。
ただし、スカイラインについては販売店筋によると「ターボ車の生産販売も、近い将来にSUVのスカイラインクロスオーバーに引き継ぐのではないか」という情報が流れていると言います。
スカイラインクロスオーバーはかつてセダン・クーペがV36時代に存在していたため、登場すると復活することになります。
近年はSUVが人気のため、もし復活すれば「スカイラインは売れるようになる」と期待している販売店の声が多いのは確かです。
このSUVタイプのスカイラインは新開発のe-POWERユニットを搭載する方向で開発を進めているようです。
■ホンダシビックハイブリッドを6月30日発表、7月1日発売
ホンダは、シビックハイブリッドを6月30日に発表、7月1日に発売します。グレードは1タイプのみで2WDとの組み合わせになります。
車両価格は394万円となり、1.5Lターボを搭載する上級グレード車の353万9800円より40万200円高くなります。ボディカラーは1.5Lターボ車と同じ5色が用意されます。
新しいハイブリッドの先行予約は5月中旬から受付を開始する予定です。同時にインサイトは生産中止となります。
■ビッグマイナーチェンジしたマツダCX-5の販売が好調
年初にビッグマイナーチェンジしたマツダCX-5が好調な販売推移を見せています。この3月の新車登録台数は5339台で、前年同月に比べて10.2%の大幅な増加となりました。
マツダ車ではトップセラーであり、同クラスのSUVでは人気モデルのトヨタハリアーに次いで2位のポジションをキープしています。
スバルフォレスター、トヨタRAV4&ランドクルーザーの売れゆきを上回っているのです。
CX-5が好調である要因としては、ビッグマイナーチェンジの効果に加えて、ガソリン価格の値上がりの影響による軽油の安さや燃費のよさといった魅力があるクリーンディーゼル車に、買い得感が出ているのが追い風になっていると思われます。
■スズキジムニー&ジムニーシエラの納期に変化
軽規格のジムニーは国内販売のみで納期は短縮傾向にあるが、海外で需要が高まっているジムニーシエラの納期はさらに延びる傾向にある
最近になってジムニー&ジムニーシエラの納期に変化が出ています。
これまで両モデルとも納期は1年待ちで並んでいました。ところが最近の納期は、ジムニーは10カ月待ちで2カ月程度短縮していて、ジムニーシエラは逆に1年半待ちと延びており、両車で差が生じているのです。
これは海外でも販売しているジムニーシエラの需要が、欧州や中近東を中心に最近は一段と高まっていることが要因としてあるようです。
■ダイハツは登録車の生産ベースでトヨタに次いで2位
ダイハツの登録車を生産ベースで見ると、トヨタに次いで2位に浮上していることがわかりました。
トヨタにOEM供給しているルーミー、ライズ、パッソが好調に売れているためで、これらを合わせると登録実績で3月は3万3672台となります。これにダイハツオリジナルのロッキー、トールを含めると3万7523台で日産、ホンダの実績より上回っているのです。
ただ、今後は日産・ホンダともに新型車の投入が予定されているので、巻き返しの可能性もある見通しです。
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