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単純なようで実は奥が深い!? 人気モデル派生車たちの成功or失敗診断

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単純なようで実は奥が深い!? 人気モデル派生車たちの成功or失敗診断

 最近の国産車ラインナップでよく目にするのが、あるクルマをクロスオーバー風にした「SUV版」や、内外装を上質にした「豪華版」、走りを重視して走行性能を高めた「高性能版」などの「派生車」たち。

 本家の影が薄くなってしまうほどの存在感を放つクルマから、その影に埋もれがちで消滅していったクルマまでさまざま。ここではそんな「派生車」の成功・失敗を判定していく。

単純なようで実は奥が深い!? 人気モデル派生車たちの成功or失敗診断

※本稿は2022年7月のものです。派生車としての成功度は★の数で評価。★:失敗、★★:微妙、★★★:成功、★★★★:かなり成功、★★★★★(満点):大成功
文/永田恵一、写真/ベストカー編集部 ほか
出:『ベストカー』2022年8月26日号

■現行モデル編

 昨今はSUVブームもあり、フルモデルチェンジでFFベースとなったクラウンファミリーをはじめ、派生車が増加中だ。派生車の定義としては本家+サブネームの車名、一見で本家と関連のあるエクステリアといったことが挙げられる。まずは現行車の成否について考えてみた。

トヨタ ヤリスクロス(2020年8月デビュー)

トヨタ ヤリスクロス(2020年8月デビュー)…本家ヤリスを凌駕する人気のヤリスクロス。全長4180×全幅1765×全高1590mmの使いやすいサイズ感も人気の要因

 ヤリスベースのSUVというよりクロスオーバーである。ヤリスクロスは日本仕様のヤリスとは異なる3ナンバー幅となるボディにより充分なボリューム感を持つのも魅力だ。乗るとヤリスに対し大味なところやボディサイズのわりにキャビンが広くないという弱点はあるが、コスパの高さも武器に販売は絶好調だ。

●派生車としての成功度:★★★★★

■トヨタ カローラクロス(2021年9月デビュー)

トヨタ カローラクロス(2021年9月デビュー)…SUVブームにより人気は上々だが、現在は納期が長いのが玉にキズ。コスパの高さはコンパクトSUVではピカイチ

 ヤリスクロスと同様の手法でカローラファミリーに加わったクロスオーバーだ。カローラクロスはFF車のリアサスを、ラゲッジスペースを広くする目的などでトーションビームにするなど芸が細かい。

 さらに価格も1.8Lガソリンなら約200万円からと車格を考えれば激安なこともあり、カローラファミリーで一番売れるモデルとなっている。

●派生車としての成功度:★★★★★

■トヨタ GRヤリス(2020年9月販売開始)

トヨタ GRヤリス(2020年9月販売開始)…現代では貴重なコンペティションとして世界的に人気が高い。出して終わりではなく、進化が予定されているのも素晴らしい

 WRCなどのモータースポーツ参戦ベース車として生まれた、本格的なスポーツモデルだ。

 それだけに野性味あふれる1.6Lターボ+4WDというパワートレーンに加え、車体後方のプラットフォームとリアサスペンションはヤリスより一車格上のTNGA-C+ダブルウィッシュボーンを使うなど、非常に高いポテンシャルを持ち、モータースポーツ界などでの人気はうなぎ上りだ。

●派生車としての成功度:★★★★☆

日産 ノートオーラ(2021年6月デビュー)

日産 ノートオーラ(2021年6月デビュー)…全長4045×全幅1735×全高1525mmと3ナンバー化。同時にアリアのテイストのデザインの顔でノートと差別化

 ノートファミリーにおけるプレミアム性を持つ上級モデルだ。ノートオーラは内外装だけでなく、走行用モーターのパワーアップなど、クルマの質のグレードアップも抜かりない。

 さらに、価格もノートに対し加わる装備内容も加味すれば納得できるリーズナブルなものとなっており、ノートファミリーの柱に成長しているのもよくわかる。

●派生車としての成功度:★★★★☆

■日産 ノート オーテッククロスオーバー(2021年10月デビュー)

日産 ノート オーテッククロスオーバー(2021年10月デビュー)…オーラ、オーラNISMOに続くノートの派生車第3弾。一見地味に見えるが、さりげない佇まいを評価する声多数

 ノートの内外装をグレードアップしたオーテッククロスの最低地上高を高めるなどしたクロスオーバーだ。クロスオーバーとしてもう少し最低地上高を高めてほしかったが、オーテックらしくパワステも専用チューニングとなるなど、仕上がりは上々だ。

●派生車としての成功度:★★★☆☆

スバル XV(2017年4月デビュー)

スバル XV(2017年4月デビュー)…インプレッサの名前が外れたが、独立車種としてユーザーから認知され人気が高い貴重種。9月15日に「クロストレック」と名称をあらためて4代目にフルモデルチェンジ

 XVはインプレッサの3代目モデルからラインナップされており、XVとしては2代目モデルから本格的なクロスオーバーモデルとなった。

 XVはクロスオーバーながら最低地上高の高さなどにより、並のSUVを軽く凌駕する悪路走破性を備えているほか、乗降性も良好な点など使いやすく、今ではインプレッサファミリーの重要な柱にまで成長している。

●派生車としての成功度:★★★★☆

ホンダ フリード+(2016年9月デビュー)

ホンダ フリード+(2016年9月デビュー)…3列シートのフリードよりも遊び心満点なところがユーザーから支持されている最大の理由。次期型にも期待がかかる

 フリードの前身となるモビリオにあったスパイクから続く、コンパクト2列シートハイトワゴンだ。

 フリード+は2列目シート以降を就寝スペース、ラゲッジスペース下部を荷物置き場に使える機能など、車中泊などのアウトドアにも便利に使えるクルマとなっており、フリードのなかでそれなりの比率を占めている。

●派生車としての成功度:★★★☆☆

スズキ ワゴンRスマイル(2021年8月デビュー)

スズキ ワゴンRスマイル(2021年8月デビュー)…ワゴンRのスライドドアバージョンがスマイルで、カワイイ顔により女性から絶大なる支持を得て、本家を凌駕する人気

 簡潔に言うと、ワゴンRのリアドアをヒンジドアからスライドドアとし、ファニーなデザインとしたモデルで、後述するムーヴキャンバスのフォロワーとなる。販売はまずまず好調で、このジャンルは今後軽乗用車において盛り上がっていくかもしれない。

●派生車としての成功度:★★★☆☆

■スズキ アルトラパン(2015年6月デビュー)

スズキ アルトラパン(2015年6月デビュー)…21世紀のネオクラシックなフロントマスクのLCを追加し、ますますラパンワールドは絶好調!

 アルトが5代目モデルだった2002年にアルトファミリーに加わった、いい意味で雑貨のような雰囲気を持ったカジュアルなモデル。このコンセプトは現行型3代目まで不変で、この先も変わることがなさそうに思えるくらい完成されたもので、需要も堅調だ。

●派生車としての成功度:★★★★☆

■スズキ スペーシアギア(2018年12月デビュー)

スズキ スペーシアギア(2018年12月デビュー)…車名のとおり、タフなギア感が強調されたデザインは秀逸で人気の要因。ライバルにない個性派

 標準車、カスタムに続くスペーシアファミリー第三のモデルとして加わったクロスオーバーだ。

 スペーシアギアはクロスオーバーといっても、最低地上高など機能面は標準車、カスタムと変わらず、違うのは内外装の変更による雰囲気だけだが、丸いヘッドライトなどによる楽しげな雰囲気は魅力で、スペーシアファミリーにおける販売比率も意外に高いものとなっている。

●派生車としての成功度:★★★★☆

ダイハツ ムーヴキャンバス(2022年7月デビュー)

ダイハツ ムーヴキャンバス(2022年7月デビュー)…本家ムーヴの派生車ながら、初代モデルが大ヒットしたおかげで、本家よりも先にフルモデルチェンジ。独特のユルさとオシャレな色遣いで新型もヒット間違いなし

 前述のワゴンRスマイルのお手本となった存在だ。先代モデルでは本家となるムーヴよりも売れており、ムーヴファミリーの大きな柱となっていた。

 フルモデルチェンジされたばかりの現行モデルもキープコンセプトながら、先代モデルにはなかったターボ車の設定など、現行タント以降のダイハツの最新軽乗用車に準じたアップデートが施されており、成功は確実だろう。

●派生車としての成功度:★★★★☆

■派生車とは名ばかり!? まったく関係のないクルマたち編

 ここで紹介する4台は、広い意味では派生車だ。これまでの現行モデル、過去のモデルの派生車と決定的に違うのは、名ばかりでまったく関係のないクルマということ。

 マークIIクオリスはFFのカムリグラシアの兄弟車、マークXジオはFF車、カローラIIターセル/コルサの兄弟車、ローレルスピリットはサニーベースなのだ。トラの威を借るではないが、これもマーケット手法のひとつ。

トヨタ マークIIクオリス。マークIIベースのワゴンではなく、FFのカムリグラシアの兄弟車

トヨタ マークXジオ。マークXが冠されているが、エンジン、駆動方式など共通点はゼロ

トヨタ カローラII。タコツーブラザーズの愛称で親しまれた。カローラ系とは無関係

日産 ローレルスピリット。サニーをベースにローレルの高級感を与えた。だからスピリット!!

■まとめ

 改めて過去と現在の派生車を振り返ってみると、「過去の派生車は実験車的な面も多分にある存在」、「現在の派生車はそのファミリーの柱になるよう力がこもったモデル」という違いを感じる。

 それぞれによし悪しはあまりないと思うと同時に、派生車には合計することで本家となるモデルの販売台数を稼ぐという目的もあるにせよ、派生車がクルマの選択肢を増やしてくれているのは事実だ。

 それだけに、今後も派生車にはクルマ選びを潤いあるものにする存在として期待したい。

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みんなのコメント

10件
  • 写真にあるのにパッソセッテが記事に出てないのはトヨタへの忖度
  • クイント・インテグラ
    独立してインテグラになってからはVTECエンジン初搭載車となったり、2番目にタイプRが設定されたりと、かなり記憶に残る車でした
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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