クラウンが国民車に返り咲くにはアルファードやドイツ車に勝る圧倒的な魅力が必要ではないだろうか
掲載 更新 carview! 文:伊達軍曹/写真:編集部 1
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悪い車かといえば、まさかそんなことがあるはずがない。普通にシュッと、いい感じで走る車だ。大トヨタのフラッグシップなのだから、そんなことは当然である。
だがドイツを筆頭とした欧州有力ブランドのフラッグシップあるいは各国製600万円級サルーンと比較した場合の「明確なアドバンテージ」は見当たらなかった。言い換えるなら「絶対にこの車じゃなきゃいけない理由」が、特にないのだ。
外観デザインは「BMWをちょっとおっさんくさくした感じ。決して悪くはない」ぐらいのニュアンスである。しかしインパネ付近のデザインは控えめに表現してもとっちらかっている。
わざわざ上下2段に分けられたセンターディスプレイは、その意図はある程度理解できるものの、結果として車内の美観を損ねている。2眼の円形メーターの間にある各種グラフィックは数が多すぎて、なおかつ重要度などに応じての差別化がなされていないため見づらい。
このようにとっちらかった美意識および機能性に基づいた高級車であっても、いわゆる高級セダンがこの世にクラウンしかないのであれば、人はそれを喜んで買うだろう。昔の一部日本国民がそうであったように。
だが今は違う。クラウンを買うのと同程度の予算を投じれば、かなりの数の「魅力的なヨーロッパ製高級車」も同じ土俵に並ぶことになる。
具体的には、新車で買うなら「メルセデス・ベンツ Cクラス」や「BMW 3シリーズ」あたりがトヨタ クラウンの新車価格とほぼ同水準であり、走行1万kmぐらいの中古車でもOKと考えるなら、さらに上のクラスの輸入サルーンやプレミアムSUVなども「クラウンの競合」になる。
また同門の「トヨタ アルファード」というのも今の時代にあっては有力な選択肢であり、むしろ今はアルファードの最上級グレードこそが「上級国民車」の座に収まっている感もある。
そんな状況下で「あえて」このクラウンを選ぶ人の人物像が、筆者には見えないのだ。
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