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ボルボ初の直4+DCT! 大幅値下げで勝負挑む

「V50 2.0e Powershift」の真価

室内に乗り込み、分厚いドアを閉めた瞬間、ボムッという重厚感のある音が聞こえてくる。そして次に訪れるのが、いかにも密閉度が高そうな、外界との強い隔絶感だ。北欧の厳しい自然環境が生みだしたボルボならではの特徴は、コンパクトなボルボにもしっかりと受け継がれている。しっとりと手に馴染むステアリングや、ゆったりとした座り心地のシートも完全にボルボ流。フリーフローティング・センタースタックと呼ばれる独創的なセンターコンソールパネルや、ダッシュボードのモダンなシボなど、デザイン性にもキラリと光るところがある。木目やクロームメッキといったわかりやすい表現ではなく、一つひとつのパーツが全体の調和のなかで質感の高さとセンスのよさをアピールする。このあたりはスカンジナビア・デザインならではのセンスを感じる部分だ。

走り出すと予想外のドライブフィールに驚いた。DCTは変速の切れ味のよさが特徴で、スポーティーなフィーリングの持ち主と相場は決まっていた。しかしボルボのPowershiftは、電光石火のシフトチェンジというよりは、従来のトルコン式ATに近いフィーリングに仕上げている。スパーンスパーンと小気味よく変速していくのではなく、シフトショックを出さないよう、クラッチを丁寧につないでいるというイメージだ。また、トルコン式ATでいう「クリープ」も、他のDCTと比べると圧倒的に強い。坂道発進時の後ずさりを防止するヒルホールドは付いていないが、それが不要と思えるほどのクリープなのだ。

こうしたセッティングをもつ理由はおそらく2つ。ひとつは、雪道などの低ミュー路ではわずかなトルク変動が安定を崩す原因になるため、変速速度よりも変速の滑らかさを重視していること。もうひとつは、ATから乗り換えた人に違和感を与えないこと。その背景には、安心感やリラックス感こそがボルボのコアバリューだという彼らの信念があるはずだ。

2リッターエンジンのスペックは145ps/6000rpm、185Nm/4500rpm。2.4リッター直5に対して最高出力は5ps向上し、最大トルクは35Nmのダウンとなる。低回転域でクルージング中にアクセルをジワッと踏み込んでいく…そんなケースでの力感は2.4リッターに軍配があがるが、高速道路の本線車線への流入など、ここ一番の加速力が必要な際の動力性能はほぼ互角。高回転域でのスムースさとエンジンの音質はプラス1気筒のメリットが効いて2.4リッターに軍配があがるが、常用域での静粛性は逆に2リッターのほうが優れている。オーナーとしての意地を抜きにしても(笑)、2リッターのほうが魅力的とまでは言えない。が、2リッター+Powershiftは十分に魅力的だと報告できるし、価格を考えればベストバイであるのは間違いない。しかも、このパワーユニットにはもうひとつ、大きな魅力が備わっているのである。

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