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ボルボ初の直4+DCT! 大幅値下げで勝負挑む

燃費性能にも注目を

新しいパワートレーンのもうひとつの大きな訴求ポイントが燃費のよさだ。高速道路を7割、一般道を3割程度走って、燃費はリッターあたり12km。我が家のV50がいまだかつて10km/リッター以上走った試しがないことを考えると、「2.4リッター比で22%の燃費向上」というカタログデータ以上の実用燃費を期待できそうだ。車載の燃費計によると、高速道路を80km/h程度でゆったり走っている際には、15~16km/リッターという燃費をマークしていた。

新しいパワートレーンは運動性能にも貢献している。エンジンで30kg、トランスミッションで10kgの合計40kg軽く、しかもそれがフロントに集中しているため、ノーズの動きがより軽やかになっているのだ。ただし、普通に走っている際にはそれを感じさせないのが何ともボルボらしい。どっしりとした直進安定性、ステアリング操作に対し決して敏感ではない穏やかなハンドリングは維持しつつ、S字の切り返しや、ちょっとペースを速めてカーブを曲がったときなどには、2.4リッターよりも全体的に軽快で素直な身のこなしを見せてくれる。V50のようなクルマにとってこの種の特性はさほど大きなメリットにはならないかもしれないが、かといって決してジャマなものではない。なぜなら、コイツとならどこまでも走っていけそうだ…と思わせてくれる安楽さ、安心感という、ボルボの魅力はいささかもスポイルされていないからだ。

総合的に見て「V50 2.0e Powershift」は、非常に大きなインパクトと可能性を秘めたモデルに仕上がっている、というのが僕の結論だ。装備をはぎ取り、性能を落として得た低価格なら驚きには値しない。けれど、プレミアムカーとして満足できる装備レベルを維持すると同時に、時代の要請である燃費性能を大幅に向上させ、同時に価格を大幅に引き下げてきた。そして、今回の価格設定は、ボルボがブランドのリ・ポジショニングをしていくうえでの大きな一歩となる可能性がある。

従来のボルボは、どちらかといえばメルセデス・ベンツ、BMW、アウディといったドイツのプレミアム御三家に近づこうとしていた。しかし今後はそうしたブランドとの間に一線を引き、VWよりわずか上を自らの居場所としようとしているのではないか。事実、デビュー当初エントリー価格が575万円だったV70には500万円を切るグレードが用意されているし、今年夏頃に導入予定のXC60にも思い切った価格設定を与えるべく本国側と交渉中だという。安全性への飽くなきこだわり、気持ちのいいスカンジナビアンデザイン、派手すぎないプレミアム性…ボルボのブランドはたくさんの魅力を備えている。そんな強いブランド力にバリュー度が加われば鬼に金棒。今後のボルボの動向には要注目だ。

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