ランクルのど真ん中へ。走り、サイズ、HEV、納期、価格…250で変わった点は?
掲載 carview! 文:編集部/写真:篠原 晃一 78
掲載 carview! 文:編集部/写真:篠原 晃一 78
トヨタは8月2日、「ランドクルーザープラド」の後継モデルである新型「ランドクルーザー250」を発表した。
ランドクルーザーシリーズは、1951年8月1日に初代(BJシリーズ)が誕生し、以来70年以上の長きに渡り世界中のあらゆる道なき道を走破し、人々の生活を支えてきたライフラインのようなクルマだ。ランドクルーザーの歴史はトヨタの歴史と言っても過言ではない。
>>新型「ランクル250」世界公開。驚きの連続! 2種類の顔&新「70」も公開
そんなランドクルーザー250のコンセプトは「原点回帰」。
そこには「質実剛健を追求しユーザーの生活と実用を支え信頼されるクルマ」という意味が込められており、従来のステーションワゴンシリーズ(「ランドクルーザー300」)の“弟的”ポジションではなく、ランドクルーザーのど真ん中を担うモデルとして生まれ変わった。「プラド」の名が外れたのも、高級・豪華路線へと進んでいった反省と、中核を担うことへの開発陣の覚悟と想いが込められている。
そして、300系はフラッグシップ、250系は質実剛健な中核モデル、70系は悪路走破性と信頼性を兼ね備えたヘビーデューティという棲み分けが明確化された形となった。そんなランドクルーザー250のチーフエンジニアを務めた森津圭太氏(以下:森津CE)に、プラドから250系で変わった点を伺った。
>>ランクル300ってどんな車? 価格やスペックはこちら
>>ランクル250ってどんな車? 価格やスペックはこちら
>>ランクルプラドってどんな車? 価格やスペックはこちら
>>ランクル70ってどんな車? 価格やスペックはこちら

最大の変更は、土台となるプラットフォームの刷新だ。
300系でも採用された最新のラダーフレーム「GA-Fプラットフォーム」に、フロントはハイマウントのダブルウィッシュボーン式サスペンション、リアは伝統のトレーリングリンク車軸式を組み合わせることで、悪路での接地性を高め300系と同等の悪路走破性を確保。
さらに、「非線形テーラードウェルドブランク」という新しい溶接方法を採用しフレーム剛性を+50%高め、さらに、スイッチ操作でフロントのスタビライザーをオン/オフできる「SDM(スタビライザー・ウィズ・ディスコネクション・メカニズム)」をトヨタとして初めて採用することで、高い悪路走破性と安定性を確保したという。
「最もこだわった点を一言で表すなら悪路走破性。もっと多くのお客様に、長く、様々な地域で使用してもらいたかった」(森津CE)
現行プラドは 長年旧式のラダーフレームを改良して使い込んできたが、250系では「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」というランドクルーザーのフィロソフィーを具現化するために、300系と同等の最新プラットフォームを手に入れた。このことからも300系の“弟的”ポジションを脱却したことがわかる。
>>ランクル300のユーザーレビュー・専門家の評価はこちら
>>ランクルプラドのユーザーレビュー・専門家の評価はこちら

今回話を聞いた中で森津CEが盛んに発していた言葉が「扱いやすさ」。多くのユーザーの命や暮らしを支えるために、250系がこだわったもう1つの重要なポイントでもある。
<ランドクルーザー250のボディサイズ>
全長4925(+100)×全幅1980(+95)×全高1870(+20)mm
ホイールベース2850(+60)mm
※()内はプラドとの比較
>>ランクル250のボディサイズ詳細はこちら
>>ランクルプラドのボディサイズ詳細はこちら
<ランドクルーザー300のボディサイズ>
全長4985(+60)×全幅1980(+0)×全高1925(+55)mm
ホイールベース2850(+0)mm
※()内はランドクルーザー250との比較
250系では扱いやすさや取り回し性を高めるために、フロントのオーバーハングを短縮しリアのフレームエンドを短縮しているそうだが、300系とほぼ同等の堂々とした体躯であることがわかる。
現行プラドからのサイズアップは国内ユーザーにとって残念だが、5m×2mに収まっているのがせめてもの救いか。森津CEによると、ドアミラー間の全幅は現行プラド以下(2115mm(-65))に収まっているとのことだ。
なおホイールベース長は80系から続く2850mmに納め、悪路走破性と3列シート車としての居住性を両立。さらに、ラゲッジは408L(+10)の容量を確保した。

さらに今回、ランドクルーザーとしては初となる電動パワーステアリング(EPS)を採用することで、悪路走行時のキックバックの低減や、オンロードでのすっきりとしたステアリングフィール、低速時の取り回し性が向上している。
ちなみにこのEPS、北米で販売されるピックアップトラック「タンドラ」で採用されているものをベースに信頼性を高めており、その性能は折り紙つき。万が一壊れても、“重ステ”にはなってしまうが自走でディーラーまで辿り着ける仕様だそうだ。電動化されてもまさに「生きて帰ってこられるクルマ」なのである。
>>ランクル300の気になる点は? みんなの質問はこちら
>>ランクル250の気になる点は? みんなの質問はこちら
>>ランクルプラドの気になる点は? みんなの質問はこちら

250系に用意されるパワートレインは計5種類。各国の厳しい環境要件に合わせて、最適なものがラインアップされるという。
2.4Lガソリンターボハイブリッド:330PS/630Nm・・・北米・中国向け
2.4Lガソリンターボ:281PS/430Nm・・・中近東・東欧・その他向け
2.8Lディーゼルターボ+48Vシステム:204PS/500Nm・・・豪州・西欧向け
2.8Lディーゼルターボ:204PS/500Nm・・・西欧・東欧・日本・中近東・その他向け
2.7Lガソリン:163PS/246Nm・・・東欧・日本向け
ミッションは2.7Lガソリンエンジンは6速AT、他は8速ATの組み合わせとなる。
やはり注目は2.4Lガソリンターボハイブリッドだろう。
「ランドクルーザーはあくまでも実用的で生活を支えるクルマだが、ランドクルーザーとしてもカーボンニュートラル社会の実現に貢献したいという想いを込めて開発した」(森津CE)
しかし残念ながら、現状日本に導入されるのは現行プラドと同型エンジンであるディーゼルとガソリンの2種類。この点に関し森津CEは「新開発の2.4Lターボハイブリッドは、まずは環境要件の厳しい北米と中国に導入する。しかし今後は日本にも導入する予定」と明言してくれた。
ちなみに2.8Lディーゼルターボ「1GD-FTV」は、エンジン本体は流用ながらターボは新規で開発することで、内部形状の小型化と高効率化を果たし、出力はそのままながらレスポンスを向上させているという。森津CEによると、8速ATはオフロードから高速走行までパワフルで扱いやすく、運転する楽しさも提供してくれるとのことだ。
>>ランクル300のグレード一覧はこちら
>>ランクルプラドのグレード一覧はこちら

気になる発売時期だが、トヨタによると24年の前半を予定しているという(ネットでは5月という噂もある)。
300系は生産が追いつかず、現在も受注停止中で批判を浴びたが、森津CEは300系の現状を詫びた上で「300系で学んだことを活かして作り方・売り方を検討し、長納期をなくせるように進めていきたい。(発売までまだ時間があるので)しっかりと対応を進めている」と話す。製造は田原工場と日野の羽村工場の2拠点が担い、効率的かつ柔軟に対応できるとのことだ(300系は吉原工場のみ)。
最後に価格だが、森津CEは「現行プラドをベースに検討をしている」とヒントをくれた。
現行プラドの価格は365万6000円~511万8000円(特別仕様車を除く)。森津CEの「多くの人に乗ってもらいたい」という言葉に期待をして、待ってみてもいいのではないだろうか。
>>ランクル300の中古車相場はこちら
>>ランクルプラドの中古車相場はこちら
>>乗り換え時はいくらに? ランクルプラドのリセール価格はこちら
ログインしてコメントを書く
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
BMW『iX3』新型の逆襲はここからが本場!…初のピュア「M」モデルは800ps
北海道に「珍ルート特急」が登場! “スイッチバック”ありで都市間を結ぶ!? 2日間限定
東京~神奈川の新ルート! 多摩川に建設中の「等々力大橋」はいつ完成? 将来は「新横浜」に4車線で直結【いま気になる道路計画】
どうなる?「2026年のバイク定率割引」曜日や距離に関係なく実施を 自工会が3党に要望
「青い相棒」ヤマハが待望の新型オフ車『WR125R』発売へ、価格は53万9000円
小林利徠斗がCERUMOからデビュー。トヨタGRが2026年スーパーGT GT500参戦体制を発表
小林利徠斗がCERUMOからGT500ステップアップ! GRスープラの4連覇なるか|トヨタ2026年スーパーGT体制発表
6年ぶり全面刷新! 日産“新型”「4ドアセダン」がスゴイ! 約350万円の”全長4.6m級”「ちょうどいいモデル」! スポーティな「SR」もある米国「セントラ」とは
「東北道からコッチ行きたい、でも有料なんだよな…」解消! 宇都宮の便利道路「さつきロード」3月に無料化
「うわ、懐かしっ!」米国オークションで半世紀前のマツダ「カペラ」を発見 48年間ワンオーナーで走行4.5万キロ 大切に扱われた米国名「626クーペ」とは
可夢偉移籍など大きくシャッフル! テストでドゥーハン&ブラウニング起用のKONDOは後日アナウンスに|トヨタ2026年スーパーフォーミュラ体制発表
スーパーフォーミュラ、トヨタ陣営が2026年体制を発表。大シャッフルで山下&ロバンペラ組、“ダブル小林”組が誕生
日産「NX8」中国で初公開。Nシリーズ初のクロスオーバーSUVはエクストレイル超えサイズの新BEV
着々と準備が進むBYDの軽BEV「ラッコ」。日本で「大成功しない理由」と、日本投入の「本当の価値」とは
【公式に検討開始】トヨタ、米国生産「カムリ/ハイランダー/タンドラ」を2026年から日本導入へ。“アメ車のトヨタ”がついに現実味
【値上げしたけど実質値下げ?】メルセデス・ベンツ「GLA アーバンスターズ」は“44万円高くなったのに約30万円もお得”な理由とは
【最上級ベースで黒仕立て】三菱「アウトランダーPHEV」に“ブラックエディション”新登場。専用レザー&内外装ブラック統一で存在感アップ
「ステップワゴン」が“30周年特別仕様車”を追加で攻勢。シートヒーター&全方位カメラ追加で、同日発表のマイチェン版「セレナ」と“真っ向勝負”の構図に
【正式価格と発売日確定】三菱新型「デリカD:5」大幅改良モデルが1月9日登場。液晶メーター&S-AWC搭載で“タフギアミニバン”が次のレベルへ
【実は中身がかなり進化】新型日産「セレナ」マイナーチェンジで何が変わった? デザイン刷新×グーグル搭載×新グレード追加の全貌
先行開発から10年、レース挑戦から5年で到達した「水素が当たり前の光景」。なぜTGRは“超電導”という未知の世界に挑むのか
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!