アクティブハイブリッド X6のHVモデルに試乗
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:篠原 晃一、中野 英幸
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:篠原 晃一、中野 英幸
アクセルを床まで踏み込むと「この加速力を日本の交通環境でフルに使う場面はない!」と思える暴力的な加速が始まる。それはシステム最大出力485ps、システム最大トルク780Nmを4つのタイヤが余すこと無く路面に伝えることで実現した0-100km/h加速=5.6秒の実力だけを指すわけではない。モーター特有の、アクセル踏み込みと同時に強力に加速し、それが終わりなく続く感覚。それを見晴らしのよい視点の高いドライビングポジションで味わった時の景色の流れは、正直、目がついていかず暴力的に感じるということだ。滑らかに変速するATにあわせて変化する迫力のV型サウンドが耳から入り、0-100km/h加速能力だけでいえばGT-Rの方が優れるが、体感的には同等のゾクゾク感がある。
そこまでの加速力はいらないと言う意見もあるが、この加速力が同時に日常運転での余裕を生み出し、運転をイージーにもしてくれている。例えば高速道路への合流や追い越し加速などで、ちょっと右足に力を込めるだけで目的は達成される。フル乗車で旅行に行った際の坂道などでも、ストレスフリーの軽快さが味わえる。一見、地味な魅力とも取れそうだが、疲労度を低減するなどクルマの高級感を左右する大事な要素なのだ。
アイドルストップから無音で走り出すことも軽快感と関係している。通常、2.5トンクラスのクルマが走り出すときにはエンジンがうなる感覚があるものだが、このクルマにはそれがない(アクセルを踏み過ぎるとエンジンが掛かってしまう)。この無音走行が新鮮さも与え、同時に静粛性や高級感も高めている。ちなみにエンジン再始動にもハイブリッドモーターを使うため始動性が良く、振動も不快感を得ないレベルに抑えられている。アクティブハイブリッド7とは異なる初採用のシステムだが、その制御の完成度が高いことを実感した。
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