トップ・オブ・ベントレー ミュルザンヌ海外試乗
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久/写真:ベントレー モーターズ ジャパン
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久/写真:ベントレー モーターズ ジャパン
それにも増して素晴らしいのがシャシーだ。同行していたスーパースポーツを先導するかたちとなったので、ゆっくり走っていては悪いかなと鞭を入れると、それに応えてどんどんペースが上がっていく。ターンインは軽快だし、旋回中の姿勢も良く出来たFR車のそれ。あまりの手応えの良さに更にアクセルを踏み込んでしまう。その瞬間、全長5.5メートルにもなるサルーンのステアリングを握っているということは、完全に忘却の彼方だったと言ってもいい。
市街地に入ってクールダウンしたところで、助手席に居たベントレー本社のJamesが「楽しんでたね~」と一言。でも本当は、それでも十分リスクを取っていたつもりだった。それぐらい、攻められるのだ。
これも新機軸となる“ドライブダイナミクスコントロール”は、ATセレクター脇のダイヤルでサスペンションとステアリングの設定を変更できる。これは基本的にお勧めの「B(=Bentley)」モードでオッケー。よりスポーティにというならSportも、あるいは後席に大事な人を乗せている時はComfortも選択できる。ちなみにこの後席の快適性も、文句のつけようが無い。単に安楽なだけでなく、シートが身体をしっかりホールドしてくれるのは、ベントレーらしいと言えるだろう。
それにしても、圧倒させられてしまった。それが正直な思いである。これぞスポーツサルーン、ベントレーの最高峰に相応しい。ミュルザンヌの高い完成度の前では、それ以外の言葉は見つからない。最初は違和感が無いでもなかったフロントマスクにも、いつしか歴史と風格を感じるようになっていた。
夏のイギリスで素晴らしい体験をした。お勧めだとか軽々しく言えるクルマではないが、オーナーになられる方には是非、アクセルを踏み込んで、その真髄に触れる走りの世界を体感していただければと思わずには居られない。
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