トップ・オブ・ベントレー ミュルザンヌ海外試乗
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久/写真:ベントレー モーターズ ジャパン
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久/写真:ベントレー モーターズ ジャパン
その外観に初見で受ける衝撃は大きい。丸型2灯の大型ヘッドランプは、ル・マン24時間耐久レースで実に5回の総合優勝をもぎとった戦前のベントレーのイメージを投影したもの。その脇に置かれた少し小振りのドライビングランプ、そして伝統のマトリックスグリルが織り成す表情は、これまでに無い、そして他とはまったく違う個性を発散している。
一方、ロングノーズでフロントオーバーハングが短く、一方でリアのそれは長く採られたプロポーションはアルナージから受け継がれたものと言える。しかしながら造形の美しさは、率直に言ってその比ではない。特に見物なのは、フロントフェンダーからドアパネルを通り、一旦キックアップしながらテールランプにまで至るショルダーラインの三次元的な美しさ。そして強く絞り込まれたCピラー辺りの造形だろう。実はこのCピラーなどは職人が手作業で加工しているのである。
内装も、やはり少品種大量生産の自動車の常識では量れない仕上がりと言える。アルミとウッド、そしてレザー。どれも本物の、最上級の素材が、これでもかと惜しげもなく使われている。本物の素材だけに選別も加工も時間がかかる。しかも組み付けはほとんどが手作業。たとえばステアリングホイールのステッチなど、職人の手で実に15時間もかけて縫われている。
おかげでこの内装の仕上げだけで実に170時間、1台当たりの生産所要時間のほぼ半分が費やされているという。これを贅沢と言わずして何と言おう。
装備に関しては、無いものは無いとだけ記しておこう。大丈夫、もし望みのものが無かったとしても、ほぼ何でもスペシャルオーダーで応えてくれるのが、この手のクルマである。
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