新型タントは価格や先進装備が魅力。N-BOXの上質感には勝てないが、ユーザー層も違っている
掲載 更新 carview! 文:小沢 コージ /写真:望月 浩彦 3
掲載 更新 carview! 文:小沢 コージ /写真:望月 浩彦 3
それは動力性能にも伺え、パワーや燃費でことさらガチンコ勝負はしてきてない。売れ筋の660ccノンターボは52psのピークパワーをそのままにピークトルクを少し上げて60Nmに。660ccターボの64ps&100Nmも同様だ。またJC08モード燃費はノンターボが27.2km/Lで、ターボ25.2km/L。ノンターボでタントがわずかに勝ち、ターボでN-BOXが逆に勝っているが、どちらも大差ない。
その一方でタントは今までにない2系統の伝達システムを持つD-CVTを初採用。発進時のダイレクト感は明らかに向上していてパワー&トルクで勝るノンターボのN-BOXを追従。力強さで負けて、CVTのダイレクト感で勝った感じだ。
先進安全だが、こちらは4代目タントがやや有利。N-BOXのホンダセンシングも優れものだが、タントの新世代スマートアシストは追従オートクルーズが渋滞時に完全停止するだけでなく、車線維持機能もレーンのセンターを完全にトレースする。この点でN-BOXを先行したと言ってよく、正直N-BOXオーナー小沢としちゃ悔しい。イマドキ軽でも高速は良く走るし、渋滞時の完全停止は絶対的にラクだからだ。
という具合に時に勝ち、時に負けてるタント vs N-BOXのガチバトルだが、それは個別性能のみだ。最近両者は住むタナがますます異なってきている。それは価格戦略に露骨に伺え、タントはなんと旧型ほぼ据え置き。具体的にはノンターボモデルが122万円台スタートで、これはスマートアシスト非装備の営業車向けかもしれないが、標準装備車でも130万円台スタート。かたやN-BOXは138万円台スタート。高いほうのグレードを見ても、タントカスタムRSの4WDモデルが187万円台に対して、N-BOXカスタムG EXターボの4WDモデルは208万円台と大台突破で20万円以上の開きがある。
タントは明らかに従来通りの軽自動車ユーザー狙いで安さ重視。かたやN-BOXはリッターカーからのダウンサイジングユーザーが中心で安さより品質。一部は重なるが似て非なるクルマなのだ。
それは新型タントがあくまでも助手席ピラーレスのミラクルオープンドアの使い勝手を伸ばすべく、運転席ロングスライドシートや助手席イージークローザー、人が近づくとドア開くウェルカムオープン機構などを付けたことからも伺える。
タントはやはり子育てヤングママを狙い、かたやN-BOXは高品質路線を狙う。おそらく今回のタントもモデル通期の販売台数ではN-BOXを超えないに違いない。だが、それでいいし、両車はそれぞれ別のポリシーを貫くからこそ今後も売れ続けるのだ。
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