【覚えてますか?】荷室に“専用バイク”を搭載する「シティ」はホンダの天才的発想から生まれたコンパクトカー
掲載 carview! 文:横田 宏近 20
掲載 carview! 文:横田 宏近 20
1980年代のホンダは、次々と新鮮なモデルを送り出していた。中でも初代「シティ」は、独自のパッケージングで広い室内と明確な個性を主張し、多くの人を魅了した。
かつてホンダは、人をワクワクさせる天才だった。1981年10月に登場した初代シティも、そんなホンダの魅力を凝縮した代表的な存在である。
初代シティは、ホンダ独自の「MM思想(メカミニマム、マンマキシマム思想)」を徹底し、限られた外寸から最大の居住スペースを獲得するため、全高1470mmのトールボーイデザインを採用した。
それはまさにマジックだった。全長はわずか3380mm。現在の軽自動車よりも短いサイズながら、高さ方向に余裕を持たせることでデッドスペースをなくし、大人4名がゆったりとくつろげる居住スペースと実用的なラゲッジスペースを確保したのだ。
しかも、抜群のデザインセンスでコンパクトカーならではの「楽しい雰囲気」を全身で発散していた。ファニーなフロントマスク、ステーの長い昆虫のようなフェンダーミラー、塊感のあるフォルム。シティのルックスは、クラスレスの雰囲気を発散していた。さらに、ラゲッジにぴったり収まる専用設計のモトコンポ(50ccの折り畳み式原付バイク)まで用意されていた。
シティは発表と同時に話題となり、乗ることがシンプルな生活を指向するオーナーのライフスタイルの表現となった。効率を重視した新開発の1.2L直列4気筒ガソリンエンジンは、パワーと燃費を高次元で両立させた。ここでも時代を先取りしていた。
(次のページに続く)
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